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中医協 不採算品再算定の実態把握しないGE薬協に診療側・長島委員が苦言「次にやって意味があるのか」

公開日時 2024/08/08 07:30
中医協総会は8月7日、製薬業界からヒアリングを受ける中で、24年度薬価改定の効果検証をめぐり、不採算品再算定に焦点が当たった。医薬品の供給不安が続く中で、不採算品再算定の実効性をめぐり、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)が不採算品再算定の適用回数などの実態を製薬業界に尋ねたが、日本ジェネリック製薬協会の川俣知己会長は「残念ながら(把握していない)」と応じた。これに対し、診療側の長島委員は、効果・検証の早期把握を求め、「そうしないと、次にこれをやっても意味があるのかという議論になってしまう」と指摘した。診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)も、「正直、供給不安問題が出てから3年以上経って、業界の対応は遅いというふうに言わざるを得ない。早急に進めていただきたい」と苦言を呈した。

◎適用実態問う声にGE薬協・川俣会長「残念ながら把握していない」


診療側の長島委員は、「喫緊の課題である医薬品の安定供給については、新型コロナ等の感染症が再び流行している中で、必要な医薬品が現場に届かないという状況はいまだ改善されていない。不採算品再算定の適用範囲を拡大するなど薬価上の措置をしても、その効果はあまりなかった、あるいは限定的だったということか」と質した。

これに対し、日本ジェネリック製薬協会の川俣知己会長は、不採算品目が全体の40%(2092品目)にのぼり、安定確保医薬品や基礎的医薬品が含まれているとのデータを提示。「これを解消していく取組みが今後も必要であると考えている。もちろん原材料や製造経費の高騰が続いているので、そこに手当できるような仕組みは継続的にやっていただきたいと思っている」と述べた。

診療側の長島委員は、不採算品目の適用回数の実態を尋ねたが回答が得られず、「不採算品再算定に対する薬価上の措置をしたが、本当に有効だったのか、有効でないとすればなぜなのか、どういう分野で有効でなかったのか。その観点から、複数回提供されている品目も重要になってくるということでお聞きしたが、そのような把握をまず業界はされていないということか」と再度質した。川俣会長は、「残念ながら(把握していない)」と応じた。

診療側の長島委員は、「とすると、なかなか先につながらない。全体の影響による把握に時間がかかるとしても自分の企業、自分の業界で具体的に何をやって企業内でどのような効果、影響があったということはすぐにでもわかることだ。そこは直ちに把握し、ぜひご報告いただきたいと思います。そうしないと次にこれをやっても意味があるのかという議論になってしまうかと思う」と釘を刺した。

日本ジェネリック製薬協会の川俣会長は、「不採算品再算定をいただいた部分というのはもちろん効果があったというふうに我々は理解しているが、それで十分なのかどうかという部分に対して追加で調査をしていきたい」と述べた。

◎後発品の企業指標 「もう少しお時間をいただかないと評価できない」

「後発品を中心とした医薬品の安定供給」が柱の一つとなった2024年度薬価制度改革。後発品の企業指標が試行導入されたほか、不採算品再算定が特例的に適用された。24年度診療報酬改定の答申書付帯意見に、「後発医薬品の企業指標の導入や今後の情報公表も踏まえた医薬品の安定供給に対する影響等について、製薬業界の協力を得つつ分析・検証等を行うともに、こうした課題に対する製薬業界としての対応を踏まえながら、薬価における評価の在り方について引き続き検討する」とされている。

日本ジェネリック製薬協会の川俣知己会長は、GE 薬協加29社が企業情報を公表(24年6月末)していることを紹介。「引き続き、医療現場や国民にとって有益な情報公表となる
よう、公表内容や方法等について、業界としても積極的に協力する」と述べるにとどめた。このため、診療・支払側委員から企業指標について質問が相次ぐ格好となった。

川俣会長は、「企業評価については、そもそも医療関係者の方々が高品質で安定供給をしている企業を評価していただく仕組みができていればよかったが、これを下支えする形で今回、企業指標が導入された」と述べた。そのうえで、「限定的な試行的な取り組みということで、大きな品目に対する適用というのができていない。今年4月の薬価改定において導入されたというところで、4月の効果がどの程度出たのかという部分については、もう少しお時間をいただかないと評価できない。高品質で安定供給している企業の製品が評価されるような仕組みを今後も我々としては構築していきたいと考えている」と述べるにとどめた。

◎診療側・森委員「業界の対応、遅いと言わざるを得ない」

医薬品の供給不安が長引く中で、診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「正直、供給不安問題が出てから3年以上経って、業界の対応は遅いというふうに言わざるを得ません。早急に進めていただきたい」と苦言を呈した。

日本ジェネリック製薬協会は、協会内に加盟各社の安定供給責任者が出席する「安定供給責任者会議」を設置することについて検討を進める。川俣会長は、「会員企業は増産を行っているが、どれくらい足りないか把握できてないというのが最大の問題だと思っている。どのくらい増産したらいいのかという情報共有がないというのが、最大の問題点だったと思っている。安定供給責任者会議において、製造数量の調査をできるようにしていきたい」と述べた。

厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課の水谷忠由課長は、「公正取引委員会と協議し、どういう形であれば独禁法上、競争政策上問題がない形で行えるのか、実現するための観点から協議をしている」と説明。供給不足の起きる数量や期間について情報を共有し、増産の必要な数量を把握する方向で調整を進めているとした。

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