大鵬薬品 米アーカスのCD73阻害薬・quemliclustat、日本含むアジアの独占的開発・販売権を取得
公開日時 2024/07/10 04:50
大鵬薬品は7月9日、米アーカス・バイオサイエンシズが開発中のCD73阻害薬・quemliclustat(国際一般名、開発コード:AB680)について、日本とアジア(中国など一部地域除く)における独占的な開発・販売権を取得したと発表した。アーカスは前治療歴のない転移性膵管腺がん(mPDAC)を対象としたquemliclustatと化学療法併用と化学療法単独を比較する申請用のグローバル第3相試験(PRISM-1試験)を2024年に開始予定。大鵬薬品は今回の提携を通じて日本から同試験に参加する。
今回の開発・販売権の取得は17年9月に両社が締結したオプション契約に基づくもので、大鵬薬品によるオプション権の行使は今回が4回目となる。大鵬薬品は今回のオプション権行使の対価としてオプションフィーや臨床試験、承認、販売のマイルストーン達成に付随する支払いを行う。承認された場合は純売上高に対するロイヤリティをアーカスに支払う。
quemliclustatは、CD73を阻害する低分子化合物。CD73は腫瘍微小環境において免疫抑制性アデノシンを産生する主要な酵素であり、いくつかのがん種においてCD73高発現と予後不良が有意に関連している。quemliclustatはアデノシンの産生を抑制すると考えられており、アデノシンの減少により免疫抑制作用が弱まると、抗腫瘍免疫細胞が再活性し、腫瘍細胞死が促進することが期待されている。
大鵬薬品とアーカスが17年に締結したオプションとライセンスに関する契約に基づき、大鵬薬品は日本とアジア(中国と一部地域を除く)においてquemliclustatのほか、▽アデノシン受容体阻害剤・etrumadenant(18年)、▽抗PD-1抗体・zimberelimab(19年)、▽抗TIGIT抗体のdomvanalimabおよびAB308(21年)――の全4プログラムを独占的に開発・販売する権利を得た。