24年度薬価制度改革 後発品の企業指標導入 別価格帯集約は「限定的」 平均乖離率超がハードルに
公開日時 2024/06/17 04:50
2024年度薬価制度改革で試行導入された後発品の企業指標だが、最も評価の高い「A」区分の企業であっても、3価格帯より上の最も高い価格帯に集約される措置を受けた品目は「限定的」であることがわかった。平均乖離率庁などの要件がハードルとなっていることも浮き彫りとなった。日本製薬団体連合会保険薬価研究委員会(薬価研)は6月14日の研究報告で、製薬企業を対象に行ったアンケート調査結果を紹介した。
アンケート調査は、日薬連薬価研運営員会社55社、日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)加盟会社30社、PhRMA・EFPIA会員会社22社の87社を対象に実施した。
後発品の企業指標は、後発品を1品目以上有する企業を対象に、安定供給体制などを評価。A区分と評価された企業の品目のうち、「最初の後発品収載から5年以内の後発品」、「安定確保医薬品AまたはBに該当する後発品」が対象。①すべての既収載品後発品の平均乖離率以内、②後発品のうち、最も高い価格帯となる品目、③製造販売業者自らの原因により供給に支障が生じていない品目-であることをすべて満たすと、最も高い別価格帯に集約される(特例後発品)。
◎特例後発品は10.9%と限定的 価格集約の丁寧な議論望む声も
調査に、「A区分」と回答したのは16社(新薬系企業:3社、後発品系企業:11社、その他:1社)だった。特例として最も高い価格帯で集約された品目を新薬系企業で有する企業はなく、後発品系企業7社などで、別価格帯で集約された品目を持っていた。
特例後発品として最も高い別価格帯に集約されたのは91品目(10.9%)。新薬系企業では品目はなく、後発品系企業では79品目(10.1%)、その他企業では12品目(41.4%)だった。「最も高い価格帯となる品目」との要件を満たさなかったと推察される品目は94品目(11.3%)あった。特例後発品となると企業側が想定していたものの、指定を受けなかった品目があった企業では、いずれも「乖離率要件を満たさなかった」と推察しているという。
企業からは、「乖離率は製薬企業が関与できないため、平均乖離率で判断することは適切ではない」、「最も高い価格帯要件を満たせなった場合、3価格帯内での集約となり、累次の改定を経てもこの要件を満たせないため、要件の見直しが必要ではないか」などの声があがった。適正価格で販売しても、乖離率の大きい品目の影響を受けるという価格帯集約の課題が残されているとして、慎重な検討を求めた。
また、「特例後発品となる品目が限定的であり、安定供給できる企業への評価として不十分」、「特例後発品は銘柄別改定を希望する」などの声も寄せられた。
◎G1の4回目適用 「後発品に不採算品再算定適用で価格が逆転している品目」も
このほか、長期収載品の特例引下げ(G1/G2ルール)については、G1として4回目の適用に該当した品目について確認したところ、後発品の価格と同額になっていない品目や、後発品と価格が逆転している品目があったと説明。「必ずしも制度導入当時に想定していた状況とはなっていない」と指摘した。
G1(4回目)の適用を受けた品目は40品目。後発品と同額とならなかった品目は後発品に不採算品再算定が適用されたことにより、市場実勢価格に基づき改定されたと推定される品目が5品目(内用薬:1品目、注射薬:4品目)、円滑実施措置の対象となった品目が2品目(注射薬:1品目、歯科用薬剤:1品目)あったとしている。