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「医師の働き方改革」への各社MR対応 5割超「情報収集」 6割「Web視聴後のフォロー重視」ミクス調査

公開日時 2024/06/04 04:53
ミクス編集部は「MR数調査2024年版」(Monthlyミクス6月号掲載)において、4月の「医師の働き方改革」施行後に注力すべきMR活動について製薬各社から回答を求めた。6割が医師との面会機会が減ると想定し、「これまで以上にWeb講演会視聴後のフォローを重視する」よう徹底していた。また、5割超の企業は、「担当医療機関(病院・診療所)ごとに情報収集を行わせている」と回答し、医療現場の微妙な変化をMRに“体感”させながら、自身の訪問計画やオムニチャネルを意識した医師へのアプローチ手法の確立・実践に努めている。最終的には「1回あたりの面談精度の向上」をMRに課していることも垣間見た。

◎「これまで以上にWeb講演会の視聴後のフォローを重視」内資系66%、外資系50%

4月実施の「医師の働き方改革」へのMR対応について調査した。「MRにこれまで以上にWeb講演会の視聴後のフォローを重視するよう徹底した」との全体回答は60%。内訳は、内資系企業66%、外資系企業50%、後発品メーカー40%となった。次に、「MRに担当医療機関(病院・診療所)ごとの情報収集を行わせた」との全体回答は56%。内訳は内資系企業56%、外資系企業50%、後発品メーカー60%だった。

「これまで以上にデジタル情報を活用するよう徹底した」の全体回答は37%だったが、内訳をみると外資系企業の17%に対し、内資系企業が47%と高めとなっている。デジタルツールの利活用については、外資系MRの方が進んでいる印象もあり、内資系MRに対しては、この機会を捉えてデジタルツールの利活用を個々MRにスキル化する狙いが込められている。

MR活動で最も重要なのは「1回あたりの面談」の成果だ。調査では、「MRにこれまで以上に1回あたりの面談に際して医師の疑問や疑念に答える活動を行うよう徹底」したかどうかについての質問を用意した。結果をみると外資系企業の50%に対し、内資系企業28%と22ポイントもの差が見られた。また、「MRにこれまで以上に1回あたりの面談時間を確保するよう徹底した」との回答は、外資系企業の33%に対し、内資系企業は19%となっていた。

◎求められるMRの“目利き力” 現場の微妙な変化をデータから読み解く力も大切に

調査結果からは、多くの企業がMR自身の担当する医療機関(主に病院、診療所も含む)の情報収集に注力させていることが分かる。医師の働き方改革と一口に言っても、4月以前と以後では、まだ大きな差がない。ただ、この間に複数の医師を取材すると、勤怠管理や有給消化などを意識せざるを得ないといった声も聞かれ始めている。一方で、病院も院内掲示板に「医師の働き方改革に取り組んでいます」といったポスターを貼り、患者への情報提供を行うなど、制度が現実味を帯びている。

一方で医師側も働き方改革をうまく活用して、自分のための自己研鑽や勉強などに充てる動きもある。医薬品など自身の業務に必要とされる情報へのアクセス意欲は働き方改革の施行云々に限らず、高く維持されており、製薬企業が主催するWeb講演会についても、興味あるものは「自宅でも視聴する」という。このため製薬各社はMRに対し、「これまで以上にWeb講演会の視聴を依頼するよう徹底」(全体回答37%)しており、Web講演会視聴後の医師へのタイムリーなアプローチを意識させ、MRの“目利き”でリアル・ハイブリッドを使い分けながら医師とのコンタクト機会を確実に確保できるスキルの習得と実践を求めていることが分かる。

◎MRの営業支援として活用しているデジタルツール AI活用で外資系が一歩リード

製薬各社がMRの営業支援として導入しているデジタルツールにも注目した。最も多かった回答は、「外部企業(Veeva、IQVIAなど)が開発したCRM」の導入。内資系の63%に対し、外資系の回答は86%だった営業支援ツールを独自に自社開発する企業も増えている。独自開発する意味は、データ利活用を含めて、自社内でのカルチャー醸成と独自データの蓄積を目的とすることが多い。本誌調査では、全体回答は49%。内資系は46%、外資系は57%という結果となった。

本社に集積されたデータの有効活用を目的とした営業支援ツールの開発も盛んになっている。「本社に集積されている売上データ」を活用しているとの全体回答は55%。「本社に集積されている顧客データ(施設・エリア情報等)」の利活用は全体回答で51%に及んだ。

医師との面談機会の創出や、数少ない医師との面談を最大化するためのデータ利活用が今後さらに進むものと見られており、MR側の“目利き力”の向上と、MR活動の“いま”を活かすリアルタイムデータの分析や、それに基づくレコメンド機能の充実などが求められそうだ。

AI(人工知能)の活用もMRの営業支援ツールとして注目されており、今回の調査結果では外資系企業の回答が71%と高率で目を引いた。
 
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