24年度薬価改定で試行導入の後発品の企業指標 「A区分」は40社 78成分規格124品目が別価格帯に
公開日時 2024/03/05 10:00
2024年度薬価制度改革で試行導入された、後発品の企業指標について、安定供給に貢献する上位20%の企業である「A区分」の企業は40社だった。A区分の企業の安定確保医薬品などで、現行の3価格帯とは別の価格帯に集約されたのは78成分規格、124品目だった。後発品を中心に供給不安が続く中で、24年度薬価制度改革では、企業の安定供給体制などを評価し、企業情報を可視化した。安定供給に貢献する企業を“薬価”で評価した。薬価差で差別化を図ってきたジェネリックビジネスの転換を促し、品質が確保された後発品を安定供給できる企業が市場で評価される姿を目指す。
◎「A区分」40社、「B区分」39社、「C区分」111社
後発品の企業指標では、安定確保医薬品の品目数や、他社の出荷停止・出荷制限品目に対して増産を行った実績、製造販売する後発品の平均乖離率などの指標をポイント化。後発品を1品目でも製造販売する企業190社が対象で、上位20%に該当する「A区分」は40社、「B区分」は39社、ゼロポイント未満だった「C区分」は111社だった。
A区分(上位20%)と評価された企業の品目のうち、「最初の後発品収載から5年以内の後発品」、「安定確保医薬品A又はBに該当する後発品(基礎的医薬品を除く)」について、現行の後発品の改定時の価格帯集約(原則3価格帯)よりも、上の価格帯に集約されることになる。ただし、適用条件として、▽後発品全体の平均乖離率以内(23年薬価調査では11.0%)の品目であること、▽仮に現行ルールにより価格帯集約を行った場合、後発品のうち最も高い価格帯となる品目であること、▽自社理由による限定出荷、供給停止を来している品目でないこと―の全てに該当する品目に限定する。
この条件に該当し、別価格帯に集約されたのは78成分規格124品目。このうち、後発品収載から5年以内に該当するのは74成分規格117品目、安定確保医薬品A・Bに該当するのは4成分規格7品目だった。
◎1価格帯867成分規格、2価格帯209成分規格、3価格帯57成分規格、4価格帯7成分規格
価格帯は、1価格帯が867成分規格、2価格帯が209成分規格、3価格帯が57成分規格、4価格帯が7成分規格だった。市場から撤退予定のG1品目にかかわる後発品は、1価格帯が1成分規格、2価格帯が1成分規格、3価格帯が1成分規格。市場から撤退しない予定のG1品目にかかわる後発品、G2品目にかかわる後発品は1価格帯が366成分規格、2価格帯が166成分規格、3価格帯が18成分規格、4価格帯が2成分規格だった(最低薬価の処理などで、価格帯間で薬価が同一になる場合もある)。
◎特例的対応の不採算品再算定 699成分、1911品目に適用
不採算品再算定については、急激な原材料費の高騰、安定供給に対応するため、企業から希望のあった品目を対象に特例的に適用。23年度改定に続き、“全ての類似薬について該当する場合に限る”との規定を適用しない特例的な対応を行った。ただし、平均乖離率が7%超の品目は除外された。
不採算品再算定が適用されたのは、699成分、告示数は1911品目(品目数は1943品)。内訳は、内用薬345成分(告示数:852品目)、注射薬250成分(799品目)、外用薬101成分(256品目)、歯科用薬剤3成分(4品目)。先発品は144成分(249品目)、後発品は299成分(859品目)、その他品目は312成分(803品目)だった。
なお、厚労省が3月1日に改訂した「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」では、不採算品再算定品など、「特に医療上の必要性の高い医薬品」については「価格交渉の段階から別枠とし、個々の医薬品の価値を踏まえた単品単価交渉とすることと明記された。不採算品再算定品については医療従事者側や医薬品卸から品目がわからないとの指摘もあがっていたが、同日不採算品再算定のリストも公表された。
◎基礎的医薬品「15年」に短縮で対象は40成分142品目 安定確保医薬品は5成分29品目
基礎的医薬品の対象品目数は424成分1452品目(品目数は2121)。このうち、安定確保医薬品にかかわる基礎的医薬品は13成分113品目。24年度薬価制度改革で収載からの経過期間に関する要件について、25年から「15年」に見直されたことで対象となったのは40成分142品目。安定確保医薬品にかかわる基礎的医薬品では5成分29品目だった。
◎後発品への置き換えによる医療費適正効果は年間1兆6113億円 バイオシミラーは911億円
改定率は、医療費ベースで▲0.97%(薬剤費ベースで▲4.67%)。このうち、実勢価等改定分は医療費ベースで▲0.83%(薬剤費ベースで▲4.00%)だった。
23年薬価調査の結果は、平均乖離率は6.0%。分野別にみると、後発品のない先発品の乖離率は4.2%(全体に対する薬価ベース割合:65.3%、全体に対する数量割合:14.3%)、後発品のある先発品は10.4%(全体に対する薬価ベース割合:12.2%、全体に対する数量割合:12.9%)、後発品は11.0%(全体に対する薬価ベース割合:15.9%、全体に対する数量割合:52.2%)、その他の品目は3.2%(全体に対する薬価ベース割合:6.7%、全体に対する数量割合:20.6%)。なお、妥結率(23年9月調査、薬価ベース)は94.1%。
後発医薬品の数量割合は80.2%だった。後発品への置き換えによる医療費適正効果額は推計年間1兆6113億円。このうち、バイオシミラーへの置き換えによる医療費適正効果額(年間推計)は911億円で、バイオシミラーの金額割合は34.3%だった。