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働き方改革の中でも医師と面談できるMRへ

デジタル対応などを自分事にできるかが分岐点

公開日時 2024/03/25 09:00
提供:木村情報技術株式会社

木村情報技術株式会社主催Webセミナー
2024年度の製薬業界に起こる未来を2人の編集長に聞く



AI活用事業やWeb講演会の運営・配信などを展開する木村情報技術株式会社は、「2024年度の製薬業界に起こる未来」をテーマに、同社コンサナリスト事業部事業部長で司会の川越満氏とMonthlyミクス編集長の沼田佳之氏との対談形式でWebセミナーを開催。製薬企業のマーケティング部門やデジタル関連部門、MRなどから寄せられた質問をもとに分類した、医師の働き方改革、デジタルツール、MRのあり方、ペイシェントセントリシティという4つのトピックスについて論じ合った。
リアル面談減少でMRのマインドセットが必須に
川越 医師の働き方改革は一番質問をいただき、製薬企業やMRの関心度も高い。働き方改革はMR活動にどのような影響を与えるか。

沼田 Monthlyミクス2月号で医師850人にアンケート調査を実施し、働き方改革に伴うMRとの面談機会について尋ねたところ、「あまり変わらない」が最多だったが、「リアルでの面談が減る」「Webやオンラインを通じてコンタクトする機会が増える」が2、3位を占めた。一部の医師からは面談時間や面談場所も変わるとの回答もあった。

川越 働き方改革で製薬企業が考えるべきことは4つあると思う。「勝ち組急性期病院の特定とMR配置・評価の見直し」「連携ターゲティング」「情報チャネルおよびコンテンツの見直し」「タスクシフトされた職種への情報提供」で、こういった取り組みが非常に重要になってくる。2024年度診療報酬改定では働き方改革をきっかけに、遠隔診療に関する新たな評価も行われている。



沼田 偏在問題で医師の確保が難しい地域が存在する一方、国は医療DXを進めており、ネットワーク型の医療体制を考えなければいけないと思う。ただ今、行うべきことはDX化を踏まえた地域の基幹病院とクリニックとの連携ネットワークの構築だ。デジタルを用いた連携のあり方を実証していかないと地方の医師偏在にも働き方改革にも対応できない。

川越 今回の診療報酬改定で遠隔ICUにインセンティブが付いたのも、DX化の大きな流れと働き方改革の一環であろう。次に医師から他職種へのタスクシフトの影響についてどのように捉えているか。

沼田 MRの情報提供は医師に偏りがちになるが、タスクシェア・シフトによって医師以外の職種の役割が重要になり、看護師や薬剤師などへの情報提供がより必要になってくる。特に患者中心医療の実現という観点から、デジタルツールなどを活用して多職種間で患者情報を共有できるようなサポートも求められると思う。

川越 MRが自社製品の有害事象の早期発見・介入を目的に医療チームにディスカッションの場を提供しているという事例もある。こうした活動を広げていくためにはMRの評価制度の見直しが必要で、医師との1対1の面談以上の評価を与えるなどの工夫も必要だ。

沼田 非常に重要なポイントで、免疫チェックポイント阻害薬など新たな作用機序の薬に対して患者さんも有害事象に対する心的ストレスが高い。患者さんの見守りを含めたケアが必須となり、その観点からも看護師や薬剤師の役割は重要だ。タスクシェア・シフトによってMRのアプローチの仕方も少し変わってくると予想している。

川越 働き方改革における製薬企業への期待についてお話しいただきたい。

沼田 医師の医薬品情報に接するニーズは依然高いが、アポイント制や訪問規制が拡大している現状では、Web講演会などのデジタルツールの利用が増加すると思う。

川越 医師に会えないMRは一方的な情報提供や講演会の案内に終始しているが、会えるMRは面談のたびに宿題をもらってその答えを持ってまた会えるという循環がつくれている。

沼田 医師のインサイトとして「会いたい」と思う人にはコンタクトしている。医師調査では1人が想起するのは3社ほどで、まずはそこを目標にしてもいい。

川越 働き方改革とは要は仕事かそれ以外かを分けたもの。医師にこのMRに面談するのは仕事だと思ってもらうことがポイントで、ビジョン・課題を共有したり、お互いにメリットのある関係性を構築したりして、呼ばれる存在になれるようマインドセットしていくことが必要だと思う。
デジタル活用で重要となる“ストーリー化”
川越 デジタルツールのテーマに移りたい。デジタルによってPull型営業手法の変化も期待されている。

沼田 Pull型営業とは情報がすでに医師に届いていることを想定した上でのリアクティブな対応だ。その仕組みをデジタルとうまく組み合わせていくことで、例えば、Web講演会を視聴した医師の要望などをフォローできるようにしてMRがそれに的確に対応できるようにするといった取り組みが求められている。実はWeb講演会で医師がMRに質問したいと思っても、5割弱が「まあ、いいか」となるという調査結果もある。そこをいかに拾い上げていくかが問われているが、的確にリアクティブしていくためには、このデジタルコンテンツの内容に対して「あの先生はこのように考えるだろうから、聞かれたらこう答えよう」というストーリー化が重要になる。

川越 医師の疑問や不安をMRがフォローできれば満足度は非常に高まるだろう。デジタルツールの話だが、意外とアナログ的な対応に近い。

沼田 そこはMRがリアルで活動していたときと基本的に変わらない。ただ、リアルに比べると医師の人柄などを捉えきれないケースもあり、社内にある各種のデータをうまく活用していつでもコミュニケーションが取れるように準備するなど自発的に工夫してほしい。



川越 最近はChatGPTの登場で生成AIが大きな話題になっている。当社も生成AIを使ったサービスを展開する中で具体的な活用例を紹介すると、MRのロールプレイング、議事録要約やタスク抽出、Web講演会のサマリー作成、大量のドキュメントからの文書検索、AIチャットボットとの組み合わせなどが挙げられる。またオウンドメディアでは①チャットボットで製品関係の質問に回答し、②次にAIによるディテーリング、③最後にリアルかデジタルでMRにつなげて双方向のコミュニケーション──により、処方意欲を高めていくことが理想だ。この①と②については生成AIが飲み込んでいくと考えている。

沼田 ある調査会社のデータによると、医療界の生成AIの活用頻度が急激に高まっており、論文の検索やサマリー作成など医師も生成AIの利便性に気付き始めている。製薬企業としても医師がどのように活用しているかを想定して使ってみるなど何らかの対応が必要になる。
2030年のMR数「2万5,000人以下」が最多
川越 次にMRのあり方についてだが、セミナー視聴者に2030年のMR数が何人になっているのかを尋ねた。その結果、4万人台は2%のみで一番多かったのは2万5,000人以下(33%)である。MR自身もかなりシビアな見方をしていることが分かる。

沼田 私の予想とも近く、少し幅を持たせても3万人は割り込むと思う。一つはボリュームゾーンの人たちの退職時期に入り、プラス早期退職もある。加えて各社の新薬のマーケットサイズがニッチな領域になってくるので、一昔前の1製品に1,000人体制とかいう時代ではない。逆に残ったMRのステータスは上がり、給与も上がる可能性がある。

川越 最後のペイシェントセントリシティに進みたい。MRのあり方にも関連するが「バイオ薬品が増えており、適切な副作用対策がますます重要となるが、MRを減らして正しい薬剤使用ができるのか」との病院薬剤師からの質問もいただいている。

沼田 今回の医師調査によると、医師の求める情報は実は有効性よりも安全性のほうが高かった。新たな薬剤に関してはできれば使用する前にMRに相談したいと思っており、そこを補えるMRは確保していく必要がある。ただMR数は今後大きく減少していくため、どのように情報提供していくかは合わせて考えなければならない。

川越 ペイシェントセントリシティをうまく取り込んでいる企業像について伺いたい。

沼田 診断から治療、さらに治療後の支援というペイシェントジャーニーにトータルに関わっていくことが製薬企業の活動の柱になる。特にデジタル時代ではAI問診や治療アプリを含めたデジタルプラットフォームの構築が求められており、それらの全体像を描いて実際に取り組んでいるところが患者中心医療を実現している会社といえるのではないか。課題はペイシェントセントリシティの医療と実際の企業活動とのギャップをどう埋めていくかだ。

川越 例えば、連携ネットワークの中で電子カルテの共有が進んだときに、医師も気付かない再入院リスク、あるいは希少疾患の兆候をAIが拾ってアラートし、早期発見・介入につなげるなどにも期待している。最後にMRへの期待についてお話いただいて締めくくりたい。

沼田 一連のダイナミックな変化を自分事として捉えていないMRがまだ多い。デジタルも生成AIも会社から言われたから、あるいは与えられたから取り組みという姿勢ではなく、自分事化してスキルを磨いてもらいたい。そういう思考を持ってもっとトライしなければならない時代だと強調しておきたい。



木村情報技術はオンラインイベントの総合ディレクションとAIを活用した様々なデジタルツールを提供しております。
お問合せはこちらからhttps://gjm.pw/97xuc

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