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RSV感染症予防薬など9製品を審議へ ゾコーバの正式承認も審議 3月4日の薬食審・第二部会で

公開日時 2024/02/20 04:50
厚生労働省は3月4日に薬食審・医薬品第二部会を開き、アストラゼネカ(AZ)の幅広い乳幼児を対象としたRSウイルス感染症予防薬・ベイフォータス筋注(一般名:ニルセビマブ)など、新薬9製品の承認の可否を審議する。この中には、2022年11月に緊急承認された塩野義製薬の経口新型コロナ治療薬・ゾコーバ錠の正式承認に向けた審議も含まれる。

また、がん領域では、AZのホルモン受容体陽性乳がんに対するファーストインクラスのAKT阻害剤・トルカプ錠(カピバセルチブ)や、アステラス製薬の胃がんに対するファーストインクラスの抗Claudin 18.2抗体・ビロイ点滴静注用(ゾルベツキシマブ)などが審議される。

【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)

ベイフォータス筋注50mgシリンジ、同筋注100mgシリンジ(ニルセビマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ):「①生後初回又は2回目のRSウイルス感染流行期の重篤なRS ウイルス感染症のリスクを有する新生児、乳児及び幼児における、RSウイルス感染による下気道疾患の発症抑制、②生後初回のRSウイルス感染流行期の①以外のすべての新生児及び乳児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の予防」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

長時間作用型のモノクローナル抗体製剤。生後初回のRSウイルス感染流行期の幅広い乳幼児に予防効果を示すようにデザインされた初めての予防薬。海外では22年10月に欧州で、23年7月に米国で承認されている。

RSウイルス感染症の発症を抑制する医薬品として抗RSウイルス抗体・シナジス筋注液が承認されているものの、投与対象者が早産児や先天性心疾患、免疫不全症等を有する新生児及び乳幼児といった RSウイルス感染症に罹患するリスクが高い新生児及び乳幼児に限定されている。

なお、新生児及び乳児におけるRSウイルス感染症予防ワクチンとして24年1月にアブリスボ筋注用が承認されている。

ゾコーバ錠125mg(エンシトレルビルフマル酸、塩野義製薬):「SARS-CoV-2による感染症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

SARS-CoV-2の3CLプロテアーゼ阻害剤。22年11月に緊急承認されている。緊急承認の期限は1年とされ、正式承認を得るためには再度申請し、承認を得る必要があった。塩野義製薬は23年6月8日付で緊急承認下での本承認取得に向けた承認申請を行った。

タイコバック水性懸濁筋注0.5mL、同小児用水性懸濁筋注0.25mL(組織培養不活化ダニ媒介性脳炎ワクチン、ファイザー):「ダニ媒介性脳炎の予防」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

対象疾患であるダニ媒介性脳炎は、重度の急性臨床経過をたどり、罹患期間が極めて長い急性ウイルス性疾患。ファイザーの承認申請時資料によると、国内では、これまでに北海道で5例報告されているが、感染の確定診断用の検査キットが利用できない等の理由から、実態はまだ十分に把握されていないという。

ダニ媒介性脳炎の発症予防ワクチンであるタイコバックは、欧米を中心に広く承認されており、厚労省の未承認薬・適応外薬検討会議において医療上の必要性が高いと評価され、同省がファイザーに開発要請を行った。承認申請は、開発要請を受けて実施した国内第3相試験の結果等に基づく。

プレベナー20水性懸濁注(沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン(無毒性変異ジフテリア毒素結合体)、ファイザー):「小児における肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、8、9V、10A、11A、12F、14、15B、18C、19A、19F、22F、23F及び33F)による侵襲性感染症の予防」を対象疾患とした新有効成分含有医薬品。

対象疾患である侵襲性肺炎球菌感染症は、肺炎球菌により引き起こされる疾患群であり、菌血症、敗血症、髄膜炎などが含まれる。現在の定期接種ワクチンである13価肺炎球菌結合型ワクチン・プレベナー13水性懸濁注に7血清型(8、10A、11A、12F、15B/C、22F、33F)を加えたことにより、さらに広範な血清型による侵襲性肺炎球菌感染症を予防することが期待されている。

なお、小児(健康小児)に対する肺炎球菌ワクチンとして、15価のバクニュバンス水性懸濁注シリンジが23年6月に承認されている。

ミチーガ皮下注用30mgバイアル(ネモリズマブ(遺伝子組換え)、マルホ):「既存治療で効果不十分な下記疾患、アトピー性皮膚炎に伴うそう痒(小児用量の追加)、結節性痒疹」を対象疾患とする新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。

中外製薬が創製した抗IL-31受容体A抗体。22年3月に「アトピー性皮膚炎に伴うそう痒」の効能・効果で承認されており、成人及び13歳以上の小児に対する用法・用量が設定されている。

新効能となる結節性痒疹は、慢性痒疹の一病型であり、そう痒を伴う暗褐色で角化性の硬いドーム状またはいぼ状の結節性皮膚病変が四肢を主体に分布する難治性の皮膚疾患。

サルグマリン吸入用250µg(サルグラモスチム(遺伝子組換え)、ノーベルファーマ):「自己免疫性肺胞蛋白症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。

対象疾患である自己免疫性肺胞蛋白症は、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子に対する自己抗体の過剰な産生により肺胞内に不溶性の物質が蓄積することで、呼吸不全が引き起こされる指定難病。2018年の特定医療費受給者証所持者数は148人となっている。

トルカプ錠160mg、同錠200mg(カピバセルチブ、アストラゼネカ):「内分泌療法後に増悪したPIK3CA、AKT1又はPTEN遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2 陰性の手術不能又は再発乳がん」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

ファーストインクラスのAKT阻害剤。対象疾患であるHR陽性乳がんは、最も一般的な乳がんのサブタイプであり、乳がんの65%以上がHR陽性かつHER2低発現または陰性と考えられている。また、PIK3CA、AKT1およびPTENの変異は頻繁に起こり、HR陽性進行乳がん患者の最大50%に認められるという。

海外では、23年11月に米国で抗エストロゲン剤・フェソロデックスとの併用療法で承認されている。

ビロイ点滴静注用100mg(ゾルベツキシマブ(遺伝子組換え)、アステラス製薬):「CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。

ファーストインクラスの抗Claudin 18.2抗体。承認申請は、第3相SPOTLIGHT試験(mFOLFOX6療法との併用療法)およびGLOW試験(CAPOX療法との併用療法)の結果に基づき行われた。両試験において、スクリーニングされた患者の約38%が、免疫組織化学染色において腫瘍細胞の75%以上で中等度から強度の染色強度を示し、Claudin 18.2 陽性と判定された。

エルレフィオ皮下注44mg、同皮下注76mg(エルラナタマブ(遺伝子組換え)、ファイザー):「再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。

抗BCMA/CD3二重特異性抗体製剤。皮下投与であり、静脈内投与よりも高い利便性を有している。承認申請は、国際共同第2相MagnetisMM-3試験の結果等に基づく。同試験には、プロテアソーム阻害剤、免疫調節薬および抗CD38抗体の少なくとも3クラスの治療薬を含む多くの前治療歴がある患者が参加した。

【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

アブリスボ筋注用(組換えRSウイルスワクチン、ファイザー):「60歳以上の者におけるRSウイルスによる感染症の予防」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。

24年1月に「妊婦への能動免疫による新生児及び乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患の予防」の効能・効果で承認されている。なお、60歳以上のRSウイルス感染症予防ワクチンとして、23年9月にアレックスビー筋注用が承認されている。

キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。

抗PD-1抗体。承認申請は、国際共同第3相KEYNOTE-859試験(化学療法(フッ化ピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤)との併用療法での1次治療)の結果に基づく。

フェソロデックス筋注250mg(フルベストラント、アストラゼネカ):「乳がん」を対象疾患とする新用量医薬品。

▽5FU注250mg、同注1000mg(フルオロウラシル、協和キリン):「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。

シナジス筋注液50mg、同筋注液100 mg(パリビズマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ):「下記の新生児、乳児および幼児におけるRSウイルス感染による重篤な下気道疾患の発症抑制。RSウイルス感染流行初期において・24カ月齢以下の肺低形成を伴う新生児、乳児および幼児・24カ月齢以下の気道狭窄を伴う新生児、乳児および幼児・24カ月齢以下の先天性食道閉鎖症の新生児、乳児および幼児・24カ月齢以下の先天代謝異常症の新生児、乳児および幼児・24カ月齢以下の神経筋疾患の新生児、乳児および幼児」を対象疾患とする新効能医薬品。
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