日本医薬品卸売業連合会(卸連)は12月22日、年末恒例の「業界十大ニュース」と「業界川柳ベストテン」を発表した。十大ニュース１位は宮田浩美氏(スズケン代表取締役会長)の卸連新会長就任を選出。ニュースと川柳のいずれも上位には長引く出荷調整に対する現場の嘆きがランクインした。コロナ禍からの脱却や、ChatGPTの活用など医療業界のDX加速には業界の期待と不安が入り混じる。物価高やインボイス制度導入といったビジネスに直結する世相の変化もベストテンに並んだ。

業界川柳トップは「続々と　増える品切れ　減る若手」。終わりの見えない出荷調整に、需給調整に追われる現場若手社員の離職が相次いだ。卸連の23年調査では、会員企業の従業員数は５万人割れだった。物価高騰と相反するように、毎年改定の影響もあり下がり続ける薬価も題材に。「駄菓子より　安いお薬　これいかに」(5位)、「物価高　どこまで下がる　薬価かな」(7位)。悲哀の句に業界の置かれた苦境がにじむ。

2019年から続いた新型コロナは感染症法上の位置づけが2類から５類になり、油断できないものの「アフターコロナ」の動きが加速した。されど、コロナ禍の習慣が尾を引き「うっかりと　マスクのままで　箸運ぶ」(２位)なんて人も。コロナによってリモートワークが進み、急速にDX化が加速するが「あなた誰　一致しないよ　オンライン」(8位)という事態は避けたいところだ。

社会やビジネスの環境変化も注目された。10月から導入されたインボイス制度には負担増との批判も根強い。「小遣いも　インボイスでと　妻が言い」(10位)。事業主だけでなく、サラリーマンも他人ごとではない。2024年はマイナンバーカードと保険証を一体化させる「マイナ保険証」の普及が見込まれる。本人が同意すれば、薬剤情報などが医師や薬剤師と共有できて「お薬を　一元管理　マイナンバー」(3位)。医療の姿も大きく変わるかもしれない。


【業界十大ニュース】
１位　卸連　宮田浩美氏が新会長就任
２位　出荷調整解消されず医薬品卸業若手社員の離職率増加
３位　新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが２類から5類へ
４位　ChatGPTのビジネス活用
５位　インボイス制度導入
６位　アルツハイマー認知症治療薬「レケンビ」の国内承認
７位　マイナンバーカードと健康保険証が一体化へ
８位　国内の出生率　初めて80万人を下回る
９位　コロナ・インフルエンザ同時流行
10位　医薬品業界DX加速

【業界川柳ベストテン】
１位　続々と　増える品切れ　減る若手
２位　うっかりと　マスクのままで　箸運ぶ
３位　お薬を　一元管理　マイナンバー
４位　恋文を　書いてもらって　LINEする
５位　駄菓子より　安いお薬　これいかに
６位　ウイルスと　噂話は　変異する
７位　物価高　どこまで下がる　薬価かな
８位　あなた誰　一致しないよ　オンライン
９位　憧れを　やめて掴んだ　世界一！
10位　小遣いも　インボイスでと　妻が言い