製薬業界とAI
公開日時 2024/01/01 00:00
メディカル・ジャーナリスト西村由美子人間の知能を模倣でき、大量の入力データを高速で学習して解釈し、特定の目的を達成するための独立した決定を迅速に下すことができるシステム、それがAIである。さまざまな分野でその活用が急速に進み始めたが、製薬業界は研究開発とくに創薬分野でAI導入の先鞭を切り、その後もリードを保っているパイオニアである。創薬とAI多数の分子で構成される広大な化学空間は薬物分子開発の宝庫。この開発に多額のコストが費やされ、医薬品費の高騰の原因となってきた。だが、AIの導入で薬物標的の迅速な検証が可能になり、また薬物構造設計の最適化が圧倒的に実現しやすくなったことで、開発コストの削減が期待されている。製薬企業が医薬品開発に利用できるデータセットには数百万もの化合物が含まれる場合があり...