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スズケン・浅野社長 中計改定「毎年ROE5%以上」目指す 既存事業の改革と新規事業創出へアクセル

公開日時 2023/11/14 04:48
スズケンの浅野茂代表取締役社長は11月13日の24年3月期第2四半期決算説明会で、今年5月に発表した中期経営計画を改定し、26年3月期中に「毎年ROE5%以上」を目指す方針を明らかにした。既存事業の構造改革に加えて、新規事業を創出。事業ポートフォリオの最適化を実現すると強調。その上で、同社が創立100周年を迎える2033年3月期までに「ROE8%以上」を実現する。事業戦略の面からはデジタルを活用した営業改革、物流体制の強化と生産性向上に取り組む。これを実現するため、「デジタルプラットフォーム事業本部」を新設し、本部長にWelbyの比木武代表取締役を起用した。同社が期待を寄せる「コラボポータル」について、26年3月期までに15万IDを獲得する予定を前倒しする方針も示した。

◎グループの経営環境「薬価頻回改定など医療費抑制が進められ、予断を許さない状況」

「当社グループを取り巻く医療および医薬品産業の事業環境は、薬価の頻回改定など医療費抑制の様々な施策が進められており、予断を許さない状況が続くものと推察している」-。浅野社長はこう強調する。その上で、「既存事業の改革による安定した収益基盤への取り組みとともに、新たな収益の獲得に向けた新規事業をいち早く創出していくことが重要」と述べ、特に既存事業の構造改革については、「様々なデジタルツールの活用により、効果効率的な営業体制と物流体制の再構築に着手したい」と表明。一方で新規事業の創出については、「協業企業とのアライアンスやDX基盤の確立による情報ビジネスの収益化と、患者ニーズを起点としたデマンドチェーン発想での新規事業に調整したい」と力を込めた。

◎「デジタルプラットフォーム事業本部」新設 事業本部長にWelbyの比木代表取締役

浅野社長が特に重視しているのがデジタルの活用だ。デジタルプラットフォーム「コラボポータル」を土台に、デジタルを活用して営業改革や物流体制の強化を図り、生産性を向上させる「スマートロジティクス」と、地域軸、患者、医療・介護従事者を起点に事業利益基盤の構築を目指す「地域医療介護支援」のそれぞれに期待するというもの。浅野社長はデジタル活用の世界観を創造し、実現を加速するための組織再編として、新たに「デジタルプラットフォーム事業本部」を創設したことを明かし、24年1月1日付でWelbyの代表取締役でスズケン執行役員の比木武氏を事業本部長に抜擢したことを披露した。

なお、スズケンは11月10日の取締役会でWelbyの株式を取得し、持分法適用会社とすることを決議した。「Welbyマイカルテ」の医療機関への普及や「コラボポータル」との連携を進めるなど、協業に向けた取り組みを実践するとしている。浅野社長は、「比木氏のWelbyの立ち上げから上場までの経験、その苦労や人的ネットワークを最大限スズケングループに移植をいただき、事業の加速化、さらに新たな企業文化の醸成を期待している」と語った。

一方、人材面ではDX人材と次世代リーダーの育成に向けた社内プログラムを構築した。知識習得では、初級、中級、上級に区分した「DXリスキニングプログラム」を実施。すでに初級2789人、中級1549人の計4338人が取り組んでいる。次世代リーダーの育成(対象者218人)、DXアンバサダー育成プログラム(各地域最低1人、全国50人設置)なども用意した。

◎24年3月期第2四半期 増収増益

スズケンの24年3月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比4.9%増の1兆1944億7200万円、うち卸売事業セグメントは対前年同期比5.2%増の1兆1512億7400万円、営業利益は前年同期比11.3%増の165億6600万円、うち卸売事業セグメントは15.9%増の140億6100万円だった。
 
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