エーザイの内藤晴夫代表執行役CEOは11月７日の23年度第2四半期決算説明会で、7月に米国でフル承認を取得した早期アルツハイマー病（AD）治療薬レケンビの通期売上100億円達成に自信を示した。レケンビの上期売上実績は4億円だったが、「計画通りであり、これが少ないというネガティブサプライスと決して取ってほしくない」と強調。24年3月末の累積投与患者数1万人の実現に向け、３つの「モメンタム」が着実に進行していると説明し、「米国市場で100億円レベルの売上を上げるという計画に大きな自信を持っている」と述べた。

◎レケンビの累計投与患者数1万人引き上げに、３つの「モメンタム」

内藤CEOによると、米国における現時点でのレケンビの累計投与患者数は約800人（10月27日時点）となっている。これを23年度末に1万人に引き上げるため、①Go-to-Market体制の充実（神経領域専門MRのNeurology Account Specialist （NAS）を中心とする強力なコマーシャル体制）②Market Readinessの進行（ワンストップでレケンビ処方可能な神経科医数の増加、アミロイドβ検査の増加、大病院を中心とするネットワーク（Integrated Delivery Network）の薬事審議会（P&T）での承認・採用など）③データの拡大（長期投与試験、皮下投与サブスタディなど）―の３つの「モメンタム」があるとした。

内藤CEOは「ADマーケットは既に出来上がっているマーケットではないため、今われわれがこの手でパイオニア的な努力を積み重ねながら、健全なマーケットをつくり上げていくことが非常に重要だ。その渦中にあって全力で取り組んでおり、成果は非常に急速に着実に上がってきている」と強調した。

◎23年度通期業績予想　売上高は期初予想に290億円増額の7410億円に上方修正

同日、23年度通期業績予想の上方修正を発表した。売上高については、期初から290億円増額し、7410億円を予想する。特に抗がん剤レンビマの全世界売上予想を2610億円から2930億円に320億円引き上げている。また、レケンビの米国および日本での売上予想を織り込んでおり、日本では23年内の薬価収載を見込み、即発売を予定しているとした。

上期業績は、売上高が前年同期比4.2％増の3735億5300万円、営業利益が498.3％増（262億円増）の314億2700万円となり、レケンビへの積極的な費用投入を進めつつ、増収・営業増益を達成した。

◎国内の上期売上は5.8％減の1042億円

日本での医療用医薬品の上期売上は5.8%減の1042億円となった。その内訳を製品別に見ると、20年7月発売の不眠症治療薬デエビゴが50.6%増（56億円増）の167億円、20年11月発売の関節リウマチ・潰瘍性大腸炎治療薬（JAK阻害剤）ジセレカが103.0％増（32億円増）の62億円と大幅に伸長した。一方、ヒュミラについては、23年6月にアッヴィとの共同販促契約が満了した影響により45.7%減（113億円減）の134億円となった。

【連結業績 （前年同期比）通期予想（前年同期比）】
売上高　3735億5300万円（4.2％増）7410億円（0.5％減）←修正前7120億円
営業利益　314億2700万円（498.3％増）510億円（27.4％増）←修正前500億円
親会社所有者帰属純利益 231億2900万円（24.1％減）415億円（25.1％減）←修正前380億円

【主要製品グローバル売上高 （前年同期実績）23年度予想、億円】
レンビマ 　1514（1282）2930←修正前2610
デエビゴ　194（136）425
ハラヴェン 188（214)370←修正前345
フィコンパ　136（201)255

【国内主要製品売上高 （前年同期実績） 23年度予想、億円】
デエビゴ　167（111）350
ヒュミラ　134（247）135
レンビマ 　82（69）175
ジセレカ　62（30）150
メチコバール 49（53）100
ハラヴェン 41（43）85
エレンタール 37（36）65←修正前70※
フィコンパ　35（30）75
グーフィス　35（33）75←修正前 80 ※
モビコール　32（28）70※
エクフィナ　29（22）70
パリエット 21（30）※
アリセプト 17（23）

※EAファーマ取り扱い製品
※パリエットには「ラベキュアパック400/800」および「ラベファインパック」の売上含む