持田製薬 23年度上期は減収・二桁減益 レクサプロ後発品の影響大 3新薬上市など業績回復への布石も
公開日時 2023/11/06 04:50
持田製薬は11月2日、2023年度第2四半期決算を発表し、上期は減収・二桁減益となった。4月の薬価改定で8%台の改定影響を受けたほか、22年12月に後発品が参入した抗うつ薬・レクサプロが想定以上の減収となった影響が大きかった。ただ、上期に肺動脈性肺高血圧症治療薬・トレプロストや、潰瘍性大腸炎治療薬のオンボー及びコレチメントの新薬3製品を上市するなど、業績回復への足場固めも進んだ。同社の三石基・取締役常務執行役員はこの日の電話会見で、「次への布石という点では進展のある上期になった」と強調した。
23年度上期の連結業績は、売上は前年同期比7.0%減の494億7600万円、営業利益は同25.1%減の39億5200万円、親会社帰属純利益は同27.6%減の28億3800万円――だった。特に主力品の一つだったレクサプロの売上が同66%減の26億円にとどまり、金額では53億円の減収となった。これが業績全体に大きく影響した。
◎レクサプロの通期計画を20億円引き下げ 後発品浸透スピードが「予想以上に早かった」
レクサプロの後発品の浸透スピードは「予想以上に早かった」(三石氏)。このため同剤の通期計画を下方修正し、期初から20億円引き下げて65億円と予想した。
その一方で、好調の潰瘍性大腸炎治療薬・リアルダは通期計画を10億円引き上げて150億円とし、注力している産婦人科領域の子宮内膜症等治療薬のディナゲストやディナゲストAGの売上計画も計10億円引き上げて、レクサプロの下方修正分をカバーする計画を立てた。このため連結業績予想は期初の計画を据え置いた。
◎新薬3製品上市、ジーラスタBSの承認取得、不眠症薬の承認申請
23年度上期は、24年度以降の業績回復に向けた多くのイベントがあった。5月にトレプロスト、6月にオンボー(製造販売元:日本イーライリリー)、9月にコレチメント(製造販売元:フェリング・ファーマ)の販売を開始。さらに9月に国内初となる持続性G-CSF製剤・ジーラスタのバイオ後続品(BS)の承認取得、10月にはイドルシアと共同開発した不眠症治療薬・ダリドレキサント塩酸塩が承認申請に至った。また次世代の柱の一つと位置付けるバイオマテリアル事業では、軟骨修復材「dMD-001」(開発コード)が申請中のほか、米国で9月に神経再生誘導材「Nerve Cuff」(一般的名称)の申請も行った。
このうちジーラスタBSについて三石氏は、「順調にいけば11月中に上市できればと考えている」と述べた。BSの薬価収載は毎年5月、11月に行われることから、11月の収載後すみやかに発売したい意向を示した格好だ。ジーラスタBSのピーク時売上予想は「非常に期待している薬剤」とのみ話し、具体的な目標値は非開示。
また、ジーラスタBSは持田製薬と、持田製薬グループの後発品を扱う会社として14年6月に設立された持田製薬販売がそれぞれ承認を取得した。持田製薬販売の同BSはニプロが販売する。今回、同BSを持田製薬とニプロの共同販売のスキームで展開することにした理由については、「薬剤の価値を短期間で最大化するため」と説明した。
【23年度上期の連結業績(前年同期比) 23年度予想(前年同期比)】
売上高 494億7600万円(7.0%減) 1040億円(0.7%増)
営業利益 39億5200万円(25.1%減) 85億円(0.1%減)
親会社帰属純利益 28億3800万円(27.6%減) 63億円(5.3%減)
【23年度上期の国内主要製品売上高(前年同期実績) 23年度予想、億円】
リアルダ 71(67) 150←修正前140
グーフィス 37(33) 90
エパデール 38(36) 74
レクサプロ 26(79) 65←修正前85
モビコール 28(27) 62
ユリス 15(10) 40
アテレック 12(14) 19
オンボー 2(-) 19
トラムセット 12(15) 18
トレプロスト 10(7) 18
ヘパリンNa 6(6) 12
ディナゲスト 5(12) 11←修正前8
ベセルナ 5(5) 10
後発品 150(135) 309←修正前302
*レクサプロの前期売上高は自社販売と田辺三菱製薬への販売の合算
*アテレックはアテディオを含む