久光製薬は10月6日、2023年度第2四半期（23年３～８月）の国内医療用医薬品売上が前年同期比1.7%増の268億100万円だったと発表した。23年４月の薬価中間年改定や後発品使用促進策の影響を受けたが、22年６月に腰痛症等の効能を追加した経皮吸収型非ステロイド性疼痛治療薬・ジクトルテープの伸長や、23年6月に発売した原発性手掌多汗症治療薬・アポハイドローションの寄与などでカバーした。

◎モーラス15.0％減も鎮痛・消炎の効能追加のジクトルは151.4%増

長期収載品の経皮鎮痛消炎剤・モーラステープ群の売上が15.0%減の117億2500万円と減少傾向が続く一方、新製品の貢献が鮮明になってきた。21年５月に各種がんにおける鎮痛の効能・効果で発売し、22年６月に腰痛症、肩関節周囲炎（いわゆる五十肩等）、頸肩腕症候群（いわゆる肩こり等）、腱鞘炎における鎮痛・消炎の効能を追加したジクトルは、151.4%増（13億8300万円増）の22億9600万円となった。

ジクトルの4半期ごとの売上推移を見ると、22年3～5月には9300万円だったのが、腰痛症等の効能を追加した同年6～8月には8億2000万円に急伸し、以降、4億5100万円→8億5400万円→10億8600万円→12億1000万円となっている。ただ、22年度通期の会社予想60億円に対して、実績は22億1900万円と大幅に未達。23年度は通期会社予想64億円に対して、上期進捗率は35.9%と緩やかなスタートとなった。決算会見で同社は、学会や講演会活動等で有用性の説明を継続していくことで、下期以降の目標達成は可能とみていると説明した。

23年6月に発売したアポハイドは6億2900万円を売り上げた。地道な疾患啓発活動と適切な情報提供活動を通じて売上拡大を目指す考え。通期売上予想は非開示。なお、中医協資料によると、同社によるアポハイドのピーク時予測販売金額は26年度で9億4000万円となっている。19年12月発売（発売元は協和キリン）の経皮吸収型パーキンソン病治療薬・ハルロピテープの売上は26.0%増の19億3700万円だった。

海外医療用医薬品売上は8.5%増の82億3900万円。23年6月に米国で経皮吸収型ADHD治療薬・Xelstrym（ゼルストリム）の販売を開始した。上期売上実績および通期予想は非開示。なお、海外子会社のノーベン社には、経皮吸収型ADHD治療薬・Daytrana（デイトラーナ）の販売実績がある。

◎第２四半期連結売上高は12.3％増の669億7700万円、営業利益は70.9％増

第2四半期の連結業績は、売上高が12.3％増の669億7700万円、営業利益が70.9％増の83億9600万円と2桁増収・増益の好決算だった。一般用医薬品事業が国内外でそれぞれ25％超の伸びを示したことが要因。新型コロナに関する行動規制の緩和に伴う経済活動の回復やインバウンド需要もあり、国内サロンパス群の売上は51.4%増の49億2000万円となった。また、海外サロンパス群も、積極的な販売活動と円安の影響もあり23.0%増の171億9900万円と伸長した。

通期の業績予想は変更していない。通期予想に対して、上期売上高の進捗率は50.6％とおおむね想定通りに推移。営業利益の進捗率は71.2%と50％を大きく上回るペースだが、第3四半期以降、販促活動をより強化していく予定で、営業利益の伸びは上期よりも緩やかになると見込んでいる。

【連結業績（前年同期比）23年度予想】
売上高　669億7700万円（12.3％増）1323億円
営業利益 　83億9600万円（70.9％増）118億円
親会社株主帰属純利益　84億1700万円（29.4％増）106億円

【国内医療用主要製品売上（前年同期実績）23年度予想、億円】
モーラステープ群　117.25（137.98）239
ジクトルテープ　22.96（9.13）64
ハルロピテープ　19.37（15.37）39
フェントステープ　18.12（19.99）34
モーラスパップ群　18.09（20.21）34
エストラーナテープ　9.84（9.96）21
アレサガテープ　2.00（1.92）4
アポハイドローション　6.29（―）―
その他　46.08（42.03）94