日医ら医療関係10団体 入院中の食事療養に対する財政支援訴え 「新たな経済対策」見据え
公開日時 2023/10/06 04:50
日本医師会ら医療関係10団体は、10月末にも策定される岸田内閣の新たな経済対策に向けて、入院中の食事療養に対する補助金での財政支援などを武見敬三厚労相に要望した。食材費の高騰が続くなかで、入院中の食事療養費は約30年間据え置かれ、委託単価を下回っている状況にある。要望後に記者団の取材に対し、日本医師会の松本吉郎会長は、「逆ザヤが生じており、医療機関や有床施設に非常に大きな財政的負担が生じている」と説明。武見厚労相も、「何としてでも、対応する支援を行いたい」と応じたと話した。このほか、医療関係団体は光熱費などの物価高騰に対する交付金での財政支援を継続することも要望した。
◎入院中の食事療養費は30年間据え置き「経営努力のみでは食事療養の提供が極めて困難」
物価高騰に対しては、地方創生臨時交付金(電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金)による措置も講じられてきた。ただ、都道府県の対応など地域でバラつきがあり、手元に届くまでに一定期間を要するなど、十分なものとは言えないとして、「足下の物価高騰・賃金上昇に対応するには、さらに緊急の支援が必要」と指摘した。
特に、「入院中の食事療養費」については約30年間据え置かれていると問題視。22年の病院給食の委託単価は1997円で、公定価格の単価(1920円)を上回り、77円の逆ザヤに陥っている。「もはや、経営努力のみでは食事療養の提供が極めて困難な状況であり、別途、補助金で特段の支援が必要」と強調し、新たに補助金での財政支援を求めた。食材料費の高騰が続く中で、24年度の診療報酬改定まで待てないとして、経済対策での“応急処置”としての支援を訴えた。また、光熱費などの物価高騰に対する交付金の継続も訴えた。
医療関係団体は、新たな経済対策(2023年度補正予算)と、24年度診療報酬改定(24年度予算)の2段階にわけて要望する方針。この日、手渡した要望書は、「食材料費・光熱費等の物価高騰に対する財政支援に関する要望」。日本医師会のほか、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、全国医学部長病院長会議、全国老人保健施設協会、全国老人福祉施設協議会、日本認知症グループホーム協会、日本慢性期医療協会の10団体の会長名で提出した。