Pharmacy Leaders Day 4割がChatGPT「試しに何度か使った」 薬局・薬剤師の業務改善に期待感
公開日時 2023/07/20 04:52
「Pharmacy Leaders Day」(カケハシ主催)が7月19日に東京都内で開催され、「ChatGPTは薬局を変えるか」をテーマにパネルディスカッションを行った。参加者に事前アンケートしたところ、生成AI(ChatGPT等)を「試しに何度か使ったことがある」(n=356)との回答は全体の41%、「業務等に使っている」は6%だった。生成AIの活用についてフロア参加者からは、業務におけるメール作成やプレゼンの資料作成に活用しているとの発言があった。カケハシの保坂桂佑AI在庫管理データサイエンティスト兼エンジニアは、「(ChatGPTやAIに)最終的な意思決定をさせるのは難しいが、様々なアドバイスや示唆をもらい、薬剤師が最終的に重要な行動と意思決定する形での利用が使いやすいところになる」と述べた。
◎事前アンケート 使用経験者を含めて6割がChatGPTに関心
この日のパネルディスカッションでは、参加者に行ったChatGPTに関する事前アンケートの結果が報告された。「生成AI(ChatGPT等)の使用経験」(n=356)については、「プライベートで日常的に使っている」が12%で、「試しに何度か使ったことがある」と合わせて53%を占めた。このほか「業務等で日常的に使っている」も6%あり、使用経験者を含めて6割がChatGPTに関心を持っていることが分かった。
一方、「生成AI(ChatGPT等)について気になること」(n=355)については、「薬剤師業務の代替可能性」が41%、次いで「AIによる回答の精度」が35%、「情報セキュリティの担保」が12%となった。
◎日本マイクロソフト・原浩二本部長「成果物で生産性が向上しているがポイントでは」
ディスカッションでは、「何故いま生成AIか」との質問に日本マイクロソフトの原浩二・コーポレートソリューション統括本部クラウド事業開発本部長は、「まず精度が良くなったこと。欲しい情報が目に見えて得られるようになった」と強調した。さらに実際の利用シーンとしてメール作成やプレゼン資料作成などの成果物が手に入ることに絡め、「興味本位というより、実際に使える。成果物で生産性が向上していることがポイントでは」と述べた。
◎カケハシ・保坂氏「薬剤師の知見をしっかりインプットしていくことが大事」
カケハシのAI管理在庫の構築にデータサイエンティストとして関わった保坂氏は、「精度をあげるために大量のデータを学習させることは大事だが、むしろ薬剤師業務が複雑になっていることを考えると薬剤師の方の知見をしっかりインプットしていくことが大事だと感じている」と述べた。また「精度も大事だが、きちっと薬局業務にフィットさせることの方が大事」と述べ、「社内ではUIやUXなどのユーザーインタフェースについて喧々諤々の議論を行い、造り込んでいったことが結果的に利用度を高めることができたのではないか」と振り返った。
◎どれだけうまく活用できるかが薬局や薬剤師の強みになる
薬局業務におけるAI活用について保坂氏は、「最終的な意思決定をAIにさせるみたいなところはすごく難しいと思うが、AIに様々なアドバイスをもらったり示唆やアラートもらったりすることで(薬剤師が)問題に気づき、それに基づいて薬剤師の方が最終的に重要な行動と意思決定をするみたいな形での利用が、すごく使いやすいところになるのではないか」との見解を示した。
ファシリテーションしたカケハシの中川貴史代表取締役CEOは、「ChatGPTやAIは不可逆的な大きな流れだと思う。どれだけうまく活用できるかが薬局や薬剤師の強みになるのではないか」と述べ、ディスカッションを締めくくった。