アルム 医療・ヘルスケア領域で生成AIエコシステムプロジェクト開始 業務効率化で医師の働き方を支援
公開日時 2024/06/24 04:51
アルムは6月21日、医療・ヘルスケア領域における生成AIエコシステムプロジェクトを開始すると発表した。医療や介護現場における生成AIの期待されるユースケースとして業務の効率化、診断精度の向上、医師の働き方改革、医療過誤の防止、地域格差の是正などがある。今回のプロジェクトでは、①質の高い医療データの生成AIへの提供、②生成AIの出力に対するモニタリング・是正データの提供、③生成AIによる診療支援・保健行政支援を通じて医療・介護現場に安心・安全・簡便な利用環境の提供-などを想定し、医師の働き方を支援する。
今回のプロジェクトは、内閣府が主導し、国立国際医療研究センターが管理法人を務める戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期補正予算「統合型ヘルスケアシステムの構築における生成AIの活用」テーマ3に対し、アルムを代表機関とした共同提案を申請し、採択されたもの。
◎実臨床データを患者の個別電子同意を得て蓄積 生成AIにデータを提供
同社は、医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join(ジョイン)」を活用し、国立がん研究センターをはじめ地方医療機関を問診、医療画像、検査データ、遺伝子等のデータに基づく遠隔診療で支援してきた。今回のプロジェクトでは、日本全国の医療機関の希少疾患や難病を含むさまざまな実臨床データを、患者の個別電子同意を得て蓄積し、生成AIに最新の最高品質の医療データを提供する。
また、東京慈恵会医科大学、並びにナショナルセンターの専門医が各研究テーマと連携し、「Join」にチャット形式で実装される生成AIの有用性の検証を行う。さらに、研究支援・協業・オープン化・規格整備に取り組み、行政・患者団体・学会等とも連携する。社会実装モデルとして、生成AIの出力に対するモニタリング・是正内容を生成AIの研究機関、生成AIベンチャーやグローバルIT企業への提供を予定し、安心・安全な生成AIの実現に貢献する。
◎生成AIを活用 専門医の文書作成支援ソリューションを開発し、作業負担を軽減
今回のSIPプロジェクトで開発される生成AIを導入し、各種届出書類、指定難病や身体障害者手帳の取得に必要となる意見書の作成等の専門医の文書作成支援ソリューションの開発を行い、作業負担軽減を実現します。さらには、患者や家族にも専門性の高い診療支援や膨大な介護データから必要な情報を咀嚼してリアルタイムに届け、相談に乗るシステムを開発する。
アルムは、今後生成AIを導入したシステムを国内外4000の医療・介護施設や1000万人以上の患者や家族に提供し、医療者や介護者による難病や希少疾患、難しい症例の専門医相談支援をアルムの各ツールを通じて会話形式で行う考え。