日本イーライリリーと田辺三菱製薬 マンジャロの高用量4規格も発売 フルラインナップに
公開日時 2023/06/13 04:50
日本イーライリリーと田辺三菱製薬は6月12日、2型糖尿病治療薬の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬・マンジャロ皮下注(一般名:チルゼパチド)の高用量4規格を発売した。マンジャロの6つの用量規格のうち、先行して4月18日に開始用量(2.5mg)と維持用量(5mg)の2規格は発売しており、今回の残り4規格(7.5mg、10mg、12.5mg、15mg)が加わったことでフルラインナップとなった。
マンジャロは、開始用量の2.5mgで4週間、維持用量の5mgで4週間以上投与後に必要に応じて漸増できる。4月18日時点で高用量4規格は市場投入していなくても診療に影響はなかった。ただ、発売間もなくから同剤を服薬している患者の中に、6月から漸増が必要となる症例がある可能性があり、今回の発売開始となった。
マンジャロは22年9月26日に承認を取得したが、薬価収載は同年11月をスキップして、23年3月15日となった。全世界でGLP-1受容体作動薬の需要が高まり、世界的な同作動薬の供給に懸念が出ていたことに加え、米国でのマンジャロの立ち上がり、日本での期待の高さなどを総合的に検討した結果、米イーライリリーが製造ラインを増強した上で日本で収載・上市する必要があると判断した。5mg製剤を優先して製造するなどの判断も、製造についての対応の一環だったとみられる。
マンジャロは日本で、製造販売承認は日本イーライリリーが有し、販売・流通は田辺三菱製薬が担う。情報提供活動は、両社共同で行っている。薬価収載時の中医協資料によると、同剤のピーク時売上は367億円と予想する大型化が期待される製品。
マンジャロは世界初のGIP/GLP-1受容体作動薬。GIP及びGLP-1はともに血糖管理に関与するインクレチンホルモンで、同剤はGIP受容体及びGLP-1受容体に対するアゴニスト作用を有する初の薬剤となる。膵β細胞のこれらの受容体と結合することでグルコース依存的にインスリン分泌を促進させることなどにより、血糖を低下させると考えられている。