日本イーライリリーと田辺三菱製薬 GIP/GLP-1受容体作動薬・マンジャロ、2規格を先行発売
公開日時 2023/04/19 04:51
日本イーライリリーと田辺三菱製薬は4月18日、「2型糖尿病」を効能・効果とする持続性GIP/GLP-1受容体作動薬・マンジャロ皮下注2.5mgアテオス、同皮下注5mgアテオス(一般名:チルゼパチド)の2規格を発売した。高用量の4規格(7.5mg、10mg、12.5mg、15mg)は6月12日に発売する予定。製造販売元の日本イーライリリーによると、維持用量として日本で最も汎用される見込みである5mg製剤を優先的に製造。維持用量として5mg/週処方するためには、2.5mg/週から開始し、増量する必要があるため、2規格を先行して市場投入することを決めたとしている。
なお、開始用量の2.5mgで4週間、維持用量の5mgで4週間以上投与後に漸増できるため、高用量の4規格を同じタイミングで上市しなくても診療に影響はないとも説明している。
マンジャロは22年9月26日に承認を取得したが、薬価収載は同年11月をスキップして、23年3月15日となった。全世界でGLP-1受容体作動薬の需要が高まり、世界的な同作動薬の供給に懸念が出ていたことに加え、米国でのマンジャロの立ち上がり、日本での期待の高さなどを総合的に検討した結果、米イーライリリーが製造ラインを増強した上で日本で収載・上市する必要があると判断した。5mg製剤を優先して製造するなどの判断も、製造についての対応の一環とみられる。
◎少なくとも1剤の経口血糖降下薬を服用し、治療目標に到達していない患者に「貢献したい」
マンジャロは日本で、製造販売承認は日本イーライリリーが有し、販売・流通は田辺三菱製薬が担う。情報提供活動は、両社共同で行う。薬価収載時の中医協資料によると、同剤のピーク時売上は367億円と予想する大型化が期待される製品。
同剤を投与する最適な患者像について日本イーライリリー広報部は、「マンジャロで特に貢献したい患者さんは、治療目標と現状にギャップがあり、もっと治療目標に近づけたいと思っているような方」と説明。「具体的には少なくとも1剤の経口血糖降下薬で治療中の方で、食事療法や運動療法に取り組んでも思うような効果が得られていない方で、目標とするHbA1cに到達していない方に貢献していきたい」と説明した。経口血糖降下薬との併用を主に提案していくのかについては、「患者さんそれぞれの治療歴や状態に応じて主治医が判断される」と話した。
また、田辺三菱製薬との情報提供先のすみ分けに関しては、「販売戦略に関わるため公表していない」としている。
マンジャロは世界初のGIP/GLP-1受容体作動薬。GIP及びGLP-1はともに血糖管理に関与するインクレチンホルモンで、同剤はGIP受容体及びGLP-1受容体に対するアゴニスト作用を有する初の薬剤となる。膵β細胞のこれらの受容体と結合することでグルコース依存的にインスリン分泌を促進させることなどにより、血糖を低下させると考えられている。
用法・用量は、「通常、成人には、チルゼパチドとして週1回5mgを維持用量とし、皮下注射する。ただし、週1回2.5mgから開始し、4週間投与した後、週1回5mgに増量する。なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回5mgで効果不十分な場合は、4週間以上の間隔で2.5mgずつ増量できる。ただし、最大用量は週1回15mgまでとする」。
薬価は、マンジャロ皮下注2.5 mgアテオス0.5mL1キットが1924円、同皮下注5mgアテオス 0.5mL1キットが3848円。