武田薬品 大阪工場に血漿分画製剤の新製造施設建設で1000億円投資 診断率向上や早期治療で需要見込む
公開日時 2023/03/24 04:51
武田薬品は3月23日、大阪工場(十三)の敷地内に血漿分画製剤の新製造施設を建設するため1000億円規模の長期投資を実施すると発表した。国内の投資額としては過去最大。生産量は現在の成田工場の年間40万リットルの5倍量となる年間210万リットルを予定する。同社は、血漿分画製剤を使用する疾患の診断率向上や早期治療に伴う需要拡大を見込むほか、海外からの需要にも対応できる体制を整えたい考え。竣工は2028年、2030年頃の商用生産を目指す。
同社の血漿分画製剤は、今後5年間で、20%皮下注用人免疫グロブリン製剤「CUVITRU」(TAK-664、国内申請済)、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の維持療法に使用する「HYQVIA」、先天性プロテインC欠乏症(ホモ接合体又は複合ヘテロ接合体)治療薬「TAK-662」(ヒトプロテインC)など、新規適応を含む最大5製剤の承認取得を目指している。
◎「過去20年間で大幅に需要が増加」 安定供給と患者の治療継続を支援
血漿分画製剤のマーケット規模は年間900億円位と言われる。近年は、希少疾患を含む複雑な慢性な慢性免疫不全を含む様々な疾患の治療に血漿分画製剤が使用されており、同社によると、「過去20年間で大幅に需要が増加している」という。日本国内でも、診断率の向上や早期治療などで需要拡大が見込まれ、市場の伸長が期待できる一方で、血漿分画製剤の安定供給と、患者の治療継続を支援するための製薬企業側の体制づくりが求められている。
同社が1000億円を投じて建設する大阪工場の新製造施設はこうした環境変化を踏まえたもので、生産能力は現在の5倍増となる年間210万リットルを目指す。国内の類似施設としては最大規模となる。同社はまた、この領域で米国3拠点、欧州4拠点の生産施設を有しており、日本とあわせて、アジア地域など海外マーケットの需要拡大にも対応できるグローバルの製造ネットワークにおける製造能力の拡大に寄与したい考えだ。商用生産開始の2030年頃には400人の従業員を雇用する方針で、現在の成田工場については、維持管理に必要な投資を行いながら、新工場の稼働を見据えて引き続き製造を担うとしている。