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中外製薬・奥田社長CEO 22年通期売上高が初の1兆円突破 リーディングカンパニーへ足場固め着々

公開日時 2023/02/03 05:00
中外製薬の奥田修代表取締役社長CEOは2月2日、2022年12月期決算説明会に臨み、コア売上高が前年同期比16.8%増の1兆1680億円で、初めて1兆円を突破したことを明らかにした。6期連続で過去最高の売上高、営業利益、当期利益を達成。国内売上高は6547億円で、売上面でも国内のリーディングカンパニーに立った。奥田社長CEOは、ロシュとの戦略的アライアンスと中外製薬の創薬力により、「画期的な新薬を開発してローンチし、持続的に新しい薬を投入することでさらに国内ではリーディングカンパニーの地位を持続的に確保できるのではないか」と自信をみせた。日高伸二上席執行役員営業統括営業本部長は、「我々の最もコアな部分である“患者中心”が今後も大事になってくる。いかに我々の医薬品を通じ、患者さんにベネフィットをもたらすか、というところにより注力していく」と話した。

◎国内売上高6547億円 新型コロナ治療薬・ロナプリーブの政府納入2037億円

同社のコア売上高は1兆1680億円。国内売上高は前年同期比26.2%増の6547億円と大幅に伸長した。新型コロナ治療薬・ロナプリーブの政府納入が2037億円と大きく貢献。主力品の血友病治療薬・ヘムライブラが493億円、抗がん剤・カドサイラが181億円と好調だったことに加え、眼科領域への参入となったバビースモが64億円、脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬・エブリスディが115億円、抗がん剤・ポライビーが155億円、視神経脊髄炎スペクトラム障害治療薬・エンスプリングが167億円と新薬の浸透が進んだことが売上を押し上げた。薬価改定や後発品の影響で、これまで同社を支えてきたアバスチンやハーセプチンが減収となったが、新薬の伸びで吸収し、大幅増収を達成した。

◎奥田社長CEO ロシュとの戦略的アライアンスから20年「非常に功を奏している」

奥田社長CEOは、2022年にロシュとの戦略的アライアンスが20年迎えたことを紹介したうえで、「ロシュとの戦略アライアンスが非常に功を奏している。このスキームは、ロシュの革新的な新薬を中外が日本の市場で開発し、販売していく。さらに、日本市場においては中外も創薬力かなり強くなってきており、画期的な新薬を開発してローンチできる」と説明。革新的新薬の継続的な投入で、日本市場での成長を確固たるものにする考えを示した。さらに、
「国内だけではなく、世界のヘルスケアのトップイノベーターを目指している。2030年に向けてさらに創薬力を強化し、世界の患者さんに我々の革新的な医薬品を届け、成長していく」と意欲を語った。

◎日高営業本部長 デジタルとMR融合の独自モデルで「患者さんにしっかり貢献していく」

日高営業本部長は、患者中心の重要性を強調。「もちろん製品の売上は大事にしていきたいが、特に我々はスペシャリティの品目が非常に多く扱っている。我々の医薬品を通じ、患者さんにベネフィットをもたらすことにより注力していきたい」と述べた。情報提供について日高営業本部長は、「我々が独自に築き上げたチャンネル、特にデジタルの使いかたについて自分たちで特徴を出していこうということでやっていきたいと思っている。デジタルで単に情報を流すのではなく、MRと融合させるなかで、患者さんにしっかり貢献していくというところを作り上げていきたい」と意欲をみせた。

◎23年業績予測 新型コロナ治療薬を除く国内売上高は前年同期比2.1%増の4605億円

23年の業績はコア売上高1兆700億円(8.4%減)、コア営業利益4150億円(8.1%減)と減収減益の見通し。国内売上高は17.3%減の5417億円と予想する。オミクロン株への効果減弱が指摘されているロナプリーブの政府納入は、現在のところ22年度までであることから1225億円の減収を見込む。海外売上高もアクテムラの新型コロナ需要減により、202億円の減収を見込み、これらが業績にも響く格好だ。ただ、新型コロナ治療薬関連の一時的な影響を除けば、売上高は4.4%増の増収、営業利益は微増の見通し。国内売上高もロナプリーブを除けば、前年同期比2.1%増の4605億円を計画する。奥田社長CEOは、「国内の基盤ビジネスについては堅調に推移すると見込んでいる」と強調し、国内、海外ともに持続的な成長軌道であることをアピールした。

【連結業績(IFRS)、Core業績、23年Core予想】(括弧内は前年同期比)
売上高 1兆2599億4600万円(26.0%増)、1兆1678億1100万円(16.8%増)、1兆700億円(8.4%減)
営業利益 5333億900万円(26.4%増)、4516億7600万円(4.0%増)、4150億円(8.1%減)
親会社帰属純利益 3744億2900万円(23.6%増)、3177億3800万円(2.0%増)、3060億円(3.7%減)

【主要製品の国内売上高(前年同期実績) 23年予想、億円】
オンコロジー領域   2560(2615)2533
アバスチン   675(809)481
テセントリク 609(622)677
パージェタ  323(322)310
アレセンサ 289(277)282
カドサイラ 181(157)141
ポライビー 155(68)316
ハーセプチン 71(98)49
リツキサン  44(51)37
ガザイバ  40(45)45
Foundation Medicine 71(51)83
その他 103(116)112

スペシャリティ領域 3986(2574)2884
ロナプリーブ 2037(774)812
ヘムライブラ 493(416)537
アクテムラ 428(432)443
エンスプリング 167(97) 216
エブリスディ 115(23) 141
エディロール  112(223)52
ミルセラ 108(144)76
セルセプト 79(84)67
ボンビバ 71(82)-
バビースモ 64(-)174
オキサロール 55(62)-
その他  257(236)367

ロイヤルティ及びその他の営業収入 1288(1969)-



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