優れているMR 1位は武田薬品、消化器科などで高評価 2位はアステラス製薬、泌尿器科医の約半数支持
公開日時 2023/02/01 04:52
ミクス編集部が行った医師調査2023年版で、「優れているMRが所属する企業」の1位は武田薬品となった。9診療科の医師850人のうち、102票を獲得。強みを持つ消化器科と精神科のほか、リュープリンや腎細胞がんなどを適応とする新薬カボメティクスで泌尿器科でも存在感をみせた。プライマリー領域の活動を効率化し、スペシャリティシフトした結果が出たといえそうだ。また、2位のアステラス製薬は泌尿器科で、8位のマルホは皮膚科でそれぞれ約半数の医師の支持を獲得した。両社は、これら診療科の医師の3割から第一想起されており、得意とする診療科で多くの医師から厚い信頼を得ていることも確認された。
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調査は、ミクス編集部がエムスリーの協力を得て行った「医師が求めるMR調査2023年版」。対象はm3.com登録医師で、一般内科、循環器科、消化器科、呼吸器科、精神神経科(精神科)、整形外科、皮膚科――の前回調査と同様の7診療科に加え、泌尿器科と腫瘍内科の2診療科をあわせた9診療科。回答医師数は腫瘍内科を除く8診療科が各100人(開業医/勤務医各50人)、腫瘍内科は勤務医50人、合計850人の医師から有効回答を得た。調査期間は22年12月23日~23年1月3日で、インターネットを用いて調査した。
◎1位・武田薬品 得票数102票の半数は第一想起 医師の脳裏に”タケダMR”が浮かぶ存在に
総合的にみて「この製薬企業のMRは優れていると評価できる企業」を最大3社、自由記載で挙げてもらい、集計した。ここ数年は、武田薬品(19年版)→第一三共(20年版)→武田薬品(21年版)→第一三共(22年版)と交互にトップを取り合う状況が続いていたが、今回は武田薬品が首位に返り咲いた。
1位の武田薬品は開業医から44票、勤務医から58票を獲得した。診療科別にみると、消化器科から1位の24票、精神科から2位の24票を得たほか、一般内科でも1位タイの14票を獲得した。前年と比較可能な7診療科でみると、抗うつ薬・トリンテリックスで存在感をみせた精神科で5票伸ばす一方、注力度合いを落としている循環器科は4票減らすなどし、結果、7診療科での増減は0だった。ここに泌尿器科の9票、腫瘍内科の8票が加わり、計102票とした。得票数の約半数となる50票は第一想起(最大3社挙げてもらう時の1番目の社名)によるもので、多くの医師の脳裏にタケダMRがパッと浮かぶところに強さが現れている。
◎2位・アステラス製薬 泌尿器科から47票獲得 情報提供の厚さに評価集まる
2位のアステラス製薬は開業医から34票、勤務医から55票の計89票を獲得した。開業医からは過活動膀胱治療薬・ベタニス、経口腎性貧血薬・エベレンゾ、骨粗鬆症治療薬・イベニティ、勤務医からは前立腺がん治療薬・イクスタンジ、尿路上皮がん治療薬・パドセブ、イベニティの情報活動に評価が集まった。
診療科別では強みとする泌尿器科で最多の47票を獲得、うち第一想起が30票だった。医師からは、提供される情報内容に関して「比較的公平性が保たれている」とのコメントが寄せられるなど、有効性のみに偏らず、有害事象マネジメントの情報の多さに好感が持たれていた。製品力に、医師に刺さる情報があわさって、アステラスMRが泌尿器科医を中心に印象に残る存在となっている。
◎3位・第一三共 首位から陥落も開業医の得票は2年連続1位に
3位の第一三共は81票を獲得、開業医では2期連続1位となる46票を得た。診療科別では得意の循環器科で1位の30票、一般内科では武田薬品とともに1位タイの14票を集めた。ただ、前年7件あった骨粗鬆症等治療薬・プラリアの評価コメントが皆無となった整形外科で7票減るなどして、前年と比較可能な7診療科で計9票減。社を挙げてリソースを投入している乳がんや胃がんを対象疾患とする抗体薬物複合体・エンハーツに係る評価コメントもなく、腫瘍内科での得票数は2票にとどまった。国内市場でこれまでトップ2として凌ぎを削ってきた武田薬品に20票ほどの差がつく結果となった。
ただ、エンハーツで現在申請中の「HER2低発現乳がん」は乳がん患者全体の約半数が該当するとされ、新たな患者カテゴリーとしても注目を集めている。この適応追加をきっかけに同社が再浮上する可能性は大いにあるだろう。
◎4位タイにアストラゼネカとファイザー
4位タイのアストラゼネカ(AZ)とファイザーは各68票を獲得した。AZは非小細胞肺がん治療薬・タグリッソや慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬・ビレーズトリを中心に呼吸器科で1位の37票を獲得。前立腺がんなどを適応とする抗がん剤・リムパーザや、慢性腎臓病(CKD)の適応を持つフォシーガの情報活動を背景に泌尿器科でも11票獲得し、全体の票数を押し上げた。
ファイザーは循環器科で9票伸ばし、泌尿器科でも9票得るなどした。特に循環器科では第一三共に次ぐ2位の23票を獲得。経口抗凝固薬・エリキュースやTTR型アミロイドーシス治療薬・ビンダケルの情報活動で医師を満足させた。
◎腫瘍内科1位はブリストル マイヤーズ スクイブ
診療科別の得票1位の企業は、調査対象100人の▽一般内科は第一三共と武田薬品(各14票)、▽循環器科は第一三共(30票)、▽消化器科は武田薬品(24票)、▽呼吸器科はAZ(37票)、▽精神神経科は大塚製薬(28票)、▽整形外科は旭化成ファーマ(24票)、▽皮膚科はマルホ(50票)、▽泌尿器科はアステラス製薬(47票)――。調査対象が50人の腫瘍内科はブリストル マイヤーズ スクイブ(13票)だった。
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