武田薬品 中国企業からフルキンチニブの権利獲得 治療抵抗性・転移性大腸がんで23年に日米欧で申請へ
公開日時 2023/01/26 04:50
武田薬品は1月24日、中国HUTCHMED社の経口チロシンキナーゼ阻害薬・フルキンチニブ(一般名)について、中国を除く全世界を対象とした開発・商業化に関する独占的ライセンス契約を締結したと発表した。治療抵抗性・転移性大腸がん(mCRC)を対象疾患に、2023年に米国、欧州、日本での承認申請を目指す。
契約に基づき、武田薬品はHUTCHMED社に契約一時金として4億ドルを支払う。また、開発や販売の達成に応じたマイルストンとして最大7億3000万ドルと、売上に応じたロイヤルティを支払う可能性がある。なお、今回の取引の実行には、各国の独占禁止法に基づく審査完了が必要となる。
フルキンチニブは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)1/2/3に高い選択性を有する阻害薬。VEGFR阻害薬は腫瘍血管新生の遮断において極めて重要な役割を果たす。フルキンチニブは、標的外毒性を最小限に抑え、忍容性を改善し、より一貫した標的範囲を提供することを意図して、キナーゼ選択性を向上させるように設計された。武田薬品によると、「これまでのところ、フルキンチニブの患者における忍容性は概ね良好であり、他の抗がん剤との併用療法が検討されている」という。
フルキンチニブは中国で18年に承認されている。経口投与され、バイオマーカーの状態にかかわらず、治療抵抗性mCRCの様々なサブタイプで使用される可能性がある。
◎「治療抵抗性mCRC患者さんの治療体系を大きく変化させる可能性がある」
武田薬品のグローバルオンコロジービジネスユニットのTeresa Bitettiプレジデントは、「フルキンチニブは、さらなる治療選択肢を必要としている治療抵抗性mCRC患者さんの治療体系を大きく変化させる可能性がある」との認識を示した。そして、「中国以外の患者さんへも、この革新的医薬品が持つ可能性を広げるために当社の開発力と販売力を活かせることを楽しみにしている」とし、「HUTCHMED社との契約によって、タケダのオンコロジーポートフォリオを拡大することができ、我々が目指す“Cure Cancer”の達成に一歩近づくことができる」とコメントした。