スズケン 小野薬品、塩野義製薬、田辺三菱製薬の医療用医薬品の国内物流における共同輸送開始
公開日時 2023/01/17 04:52
スズケン、小野薬品、塩野義製薬、田辺三菱製薬の4社は1月16日、医療用医薬品の国内物流における共同輸送を開始したと発表した。開始日は2023年1月1日。医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインに準拠した共同輸送として業界初の取り組みとなる。
4社が共同で策定したGDP管理基準に基づき、各製薬企業の物流センターから医薬品卸に至る輸送ルートにおいて、効率的な共同輸送に取り組む。具体的には、各製薬企業の物流センターからスズケン連結対象子会社エス・ディ・コラボのメディカルターミナルに医薬品をそれぞれ輸送して、同ターミナルに保管する。同ターミナルは室温品、保冷品に対応する。そして、各医薬品卸からの発注を受けて、同ターミナルから3社の医薬品をまとめて輸送するなどして効率化を図る。
この取り組みにより、▽全ての温度帯で温度管理をした輸送を行い、品質担保の向上を図る、▽輸送の積載効率を上げ、運行台数を削減することにより、ドライバー不足を軽減して安定供給を図る、▽運行台数の削減により、CO2排出削減を目指す――といったシナジーを見込む。
スズケンは、「これら医薬品物流の新たな取り組みを共同で行うことにより、医療用医薬品の安定供給と品質担保の向上を継続的に推進していく」としている。
◎スズケン 複数の取引先製薬企業から共同輸送参画の相談あり
スズケンは本誌取材に、スズケングループの複数の取引先製薬企業から共同輸送への参画について相談を受けていることを明らかにした。そして、「まずは今回の製薬企業3社との安全な立ち上げを最優先する」とした上で、「今年4月以降に、(3社以外の製薬企業との)参画に関する調整を行う予定」とコメントした。
医薬品物流を取り巻く環境は、18年12月に発出されたGDPガイドラインにより、輸送・保管過程において、より厳格な品質の担保および流通過程での完全性(=医薬品が製造販売承認に基づき製造され、市場出荷された状態を維持し、かつ流通経路における医薬品の品質劣化、破損、破壊および改ざんが生じないこと)が求められるようになった。
また、ドライバーの不足・高齢化に加え、働き方改革関連法の物流業界への猶予期間が24年3月末をもって解消されることや燃料費の高騰などで、安定した医薬品物流の維持に向けて大きな課題がみえている。地球温暖化対策としてCO2排出削減も社会的課題となっている。これらの課題解決のため、4社は医薬品の共同輸送に取り組むことにした。