東薬工・宮本会長 「イノベーション創出、世界の医療・健康水準の向上に取り組む」 薬業4団体賀詞交歓会
公開日時 2023/01/10 04:49
東京医薬品工業協会(東薬工)の宮本昌志会長(協和キリン代表取締役社長)は1月6日、薬業4団体の新年賀詞交換会で、「医薬品産業は知識・技術集約型産業であり、私共は未来に向かって、新薬の創出はもとより、新しい技術の融合により、イノベーションの創出、世界の医療や健康水準の向上に取り組む所存だ」と述べた。取り組みに際し、「PMDAやAMED、アカデミア等の皆様との協業を一層強化、推進して参りたい」と強調した。
23年度薬価改定についても触れ、「改定の対象範囲が、残念なことに平均乖離率7%の0.625倍という幅広い品目に設定された」と述べた。一方で、不採算品再算定や新薬創出等加算への薬価上の対応がなされたことについては、「医薬品産業への一定のご配慮をいただいた」としたうえで、「医薬品産業が日本のイノベーションと経済成長を担う重要な産業であることをご考慮いただき、総合的な検討をさらに進めていただくよう、お願いする」と述べた。
22年は医薬品の供給不安に医療現場が揺れた一年だったが、「医薬品業界にとって、医薬品の安全性や品質の確保、安定供給、コンプライアンス遵守は企業活動の基礎だ。社会からの信頼を得て、日本、世界の人々が必要とする高品質の医薬品を安定的に供給し続けるという社会的使命を果たすために、サプライチェーンの強靭化を含め、今一度、各企業が原点に立ち戻り取り組みを強化するとともに、関係団体との連携強化をさらに進める必要がある」と述べるにとどめた。
◎第一三共・中山常勤顧問 「イノベーション生む環境整備と評価は“車の両輪”、表裏一体」
同日は、旭日重光章を受章した第一三共の中山讓治常勤顧問(第一三共前代表取締役社長)、旭日中綬章を受賞したキッセイ薬品の神澤陸雄代表取締役会長兼最高経営責任者が表彰された。中山常勤顧問は、「イノベーションを生み出すための環境整備とイノベーションの適切な評価は、車の両輪、表裏一体だ」と強調。「製薬業界におけるイノベーションは、病に苦しむ患者さんを救うための核心だと私は考えている」と述べた。そのうえで、「イノベーションの重要性に反対する人はほとんどいない。しかし、いざそれを薬価という形で評価することになると、とたんに制限が課せられるという状況にある。財政面の課題はあるにせよ、病に苦しむ患者さんを一人でも多く救うために、ヘルスケア産業が継続的にイノベーションに挑戦し続けることができる環境が作られることを心より願う」と述べた。
なお、賀詞交歓会は東薬工のほか、東京薬事協会、東京医薬品卸業協会、東京都家庭薬工業協同組合の薬業4団体で開催された。