23年度予算大臣折衝 薬剤費3100億円削減、国費ベースで▲722億円 社会保障関係は前年比4100億円増
公開日時 2022/12/22 04:52
鈴木俊一財務相と加藤勝信厚労相は12月21日、予算編成の大臣折衝(写真提供・財務省)で、23年度薬価改定の改定範囲を平均乖離率7.0%の0.625倍(乖離率4.375%)を超える品目とし、同時に不採算品と新薬創出等加算品への臨時的特例的な措置を講ずることで薬剤費を3100億円削減することを確認した。国費ベースの削減額は722億円となる。このほか診療報酬上の対応として、医薬品の供給不安に対する医療現場の協力促進として、23年12月末を期限に一般名処方、後発品の使用体制に係る加算、薬局の地域支援体制に係る加算の上乗せ措置を合意した。
大臣折衝では23年度社会保障関係費の伸びを薬価引き下げなどで圧縮し、4100億円程度とすることを了承した。薬価改定による薬剤費削減額は3100億円。内訳は、新薬▲780億円、うち新薬創出等加算対象が▲10億円、長期収載品▲1240億円、後発品▲1210億円、その他品目+130億円。改定対象品目数は、全体で1万3400品目(69%)。内訳は、新薬1500品目(63%)、うち新薬創出等加算対象240品目(41%)、長期収載品1560品目(89%)、後発品8650品目(82%)、その他品目1710品目(36%)となった。
◎診療報酬上の対応 オンライン資格確認、医薬品供給不安への医療現場の対応を措置
このほか診療報酬上の対応として、オンライン資格確認の導入・普及の観点から、23年12月末を期限に、初診時・調剤時における追加的な加算、再診時の加算を設定する。さらに加算に係るオンライン請求の要件を緩和するとした。一方、後発品を中心に医薬品の供給不安が医療機関や薬局にも広がっていることを踏まえ、23年12月末を期限に般名処方、後発品の使用体制に係る加算、薬局の地域支援体制に係る加算の上乗せ措置を講ずることで合意した。これら診療報酬上の対応の財政影響額は、医療費で250億円、国費ベースで63億円。
◎加藤厚労相 医薬品が無い場合の処方替えなど「(医療現場の)負担になっている」
加藤厚労相は大臣折衝後の記者会見で、「医薬品の供給についての理由は2つある。一つはコロナの関係で需要が増えていること。もう一つは後発品メーカーの経営的な問題や生産の問題で結果的に需要が下がっている」と指摘。「実際の医療現場では医薬品が無い場合に処方替えすることがかなりある。これが(医療現場の)負担になっている。そういったことを踏まえて今回は臨時的な対応ではあるが、それに対する加算措置を取ることにした」と説明した。