23年度薬価改定 48%の品目で薬価引き下げも6%は引上げ 加藤厚労相「メリハリ利かせた見直し」
公開日時 2022/12/16 17:00
鈴木俊一財務相、加藤勝信厚労相、松野博一官房長官は12月16日午前、2023年度薬価改定について合意した。国民負担軽減の観点から対象範囲を決めた一方で、物価高騰などを踏まえて不採算品再算定と、新薬創出等加算の臨時的・特例的対応を行った。同日の閣議後会見で加藤厚労相は同日の閣議後会見で、「従前は引き下げと維持しかなかったが、今回引き上げられるものが6%相当ある、こういうメリハリを効かせた見直しをさせていただいた」と述べた。
◎薬価引下げ全体の48%も薬価引上げも6%
3大臣合意では、改定の対象範囲について、「国民負担軽減の観点から平均乖離率7.0%の0.625倍(乖離率4.375%)を超える品目」を対象とする。大臣合意にあたっては、急激な原材料費の高騰や安定供給問題に対応するため、「不採算品再算定について臨時・特例的に全品を対象に適用する」とともに、「イノベーションに配慮する観点から、新薬創出等加算の加算額を臨時・特例的に増額し、従前の薬価と遜色ない水準とする対応を行う」ことを決めた。不採算品再算定については、該当する1100品目すべてについて、臨時的・特例的に薬価引上げを行う。この結果として、薬価が引き下がる品目は全体の48%あるが、残り52%のうち、6%の品目については薬価が引き上がることになる。
加藤厚労相は、改定のスタンスについて、「国民負担、イノベーションの推進のバランスの両立を図っていくということでこれまでも進めてきた」として、21年度改定を踏襲し対象範囲を決めたと説明した。一方で、「不採算品のなかには、後発医薬品メーカーの不適切な製造管理等々を背景とした品不足もある。従前以上に不採算品再算定をしっかり行っていく」と述べた。イノベーション推進の観点から新薬創出等加算をめぐり、様々な議論があったことを踏まえ、特例的措置に至ったと説明。「新薬創出等加算分については、従前に比べてその引き下げがかなり圧縮されている」と述べた。
【資料・令和5年度薬価改定について】
令和4年12月16日 内閣官房長官、財務大臣、厚生労働大臣合意
令和5年度薬価改定については、令和4年薬価調査に基づいて、以下のとおり実施する。
改定の対象範囲については、国民負担軽減の観点から、平均乖離率7.0%の0.625倍(乖離率4.375%)を超える品目を対象とする。
急激な原材料費の高騰、安定供給問題に対応するため、不採算品再算定について臨時・特例的に全品を対象に適用するとともに、イノベーションに配慮する観点から、新薬創出等加算の加算額を臨時・特例的に増額し、従前の薬価と遜色ない水準とする対応を行う。