【速報】22年9月薬価本調査 平均乖離率は約7.0% 中医協で支払側「例年並み」と指摘 改定実施求める
公開日時 2022/12/02 11:00
厚労省は12月2日午前の中医協薬価専門部会に、平均乖離率が約7.0%との薬価本調査(2022年9月取引分)速報値を示した。前回21年調査の約7.6%よりも、0.6ポイント縮小した。支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、「平均乖離率や回収率、妥結率、納入価格はだいたい例年並み」としたうえで、「(製薬団体には)定性的な説明ではなく、具体的なエビデンスに基づきご説明いただき、納得のいく説明がなされない場合には21年度の前例を踏まえつつ、平時のルールに基づき改定すべき」と述べ、改定の実施を求めた。
文末の「関連ファイル」に、11年以降の医薬品価格調査の速報結果の推移の図表を掲載しました。12月2日のみ無料公開、その後はプレミア会員限定コンテンツになります。
22年調査による投与形態別の乖離率は、内用薬8.2%(21年調査=8.8%、20年調査=9.2%)、注射薬5.0%(同5.6%、5.9%)、外用薬8.0%(同7.9%、7.9%)。
主要薬効群別の乖離率は以下のとおり(カッコ内は21年調査、20年調査)。
内用薬:▽その他の腫瘍用薬4.2%(同4.6%、5.1%)▽糖尿病用剤8.4%(同9.0%、9.5%)▽他に分類されない代謝性医薬品7.2%(同8.2%、9.1%)▽血圧降下剤11.3%(同11.9%、12.1%)▽消化性潰瘍用剤11.3%(同11.2%、11.7%)▽精神神経用剤9.4%(同10.1%、9.7%)▽その他の中枢神経系用薬9.0%(同11.4%、10.4%)▽血液凝固阻止剤5.2%(同5.3%、5.3%)▽高脂血症用剤12.7%(同12.5%、13.8%)▽その他のアレルギー用薬11.6%(同12.2%、13.6%)――。
注射薬:▽その他の腫瘍用薬4.7%(同5.0%、5.3%)▽他に分類されない代謝性医薬品6.3%(同6.6%、6.7%)▽血液製剤類2.2%(同2.5%、3.0%)▽その他のホルモン剤(抗ホルモン剤含む)7.2%(同7.5%、7.9%)▽その他の生物学的製剤2.7%(同3.3%、3.3%)――。
外用薬:▽眼科用剤8.7%(同8.5%、8.4%)▽鎮痛・鎮痒、収斂、消炎剤9.1%(同8.7%、8.6%)▽その他の呼吸器官用薬7.2%(同7.2%、7.6%)――。
後発医薬品の数量シェアは約79.0%で、前年調査(79.0%)と同水準だった。
◎中医協・支払側安藤委員 製薬業界に「エビデンスに基づく説明」求める
支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「(乖離率は)前回に比べて低くはなっているが、投与経路別、薬効別にみても極端な数字の変化ではないというのが率直な印象だ。後発品のシェアは後退していないと受け止めている。今後投与経路別、薬効群だけでなく、新薬、長期収載品、後発品の違いを含めて、それぞれのカテゴリーについて乖離率がどういう分布になっているか丁寧に見ていく必要がある。分布が難しいようであれば、平均値とともに、最頻値、中央値だけでも示していただきたい」と述べた。
支払側の安藤委員は、「燃料費高騰や物価高、製造管理、品質管理の不備等、様々な原因による安定供給障害が続いていることは一定理解できるが、報酬改定以外の形で何らかの財政的支援を行う必要性はあると考えるが、特別に配慮すべき事情があるということまでは言えないのではないか」とも指摘。今後予定される製薬業界のヒアリングについては、「定性的な説明ではなく、具体的なエビデンスに基づきご説明いただき、納得のいく説明がなされない場合には21年度の前例を踏まえつつ、平時のルールに基づき改定すべき」と述べた。