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中外製薬・志済DXユニット長 Web3.0実現ロードマップを披露 メタバースなど初期事例の獲得に注力

公開日時 2022/11/16 04:52
中外製薬の志済聡子・上席執行役員デジタルトランスフォーメーションユニット長は11月15日開催の「CHUGAI INNOVATION DAY 2022」で講演し、同社が目指すWeb3.0実現ロードマップを披露した。2025年(Phase1)まではメタバースなど初期事例の獲得と成果創出に注力。2030年(Phase2)に向けて医師・患者への適用範囲と成果の拡大に取り組む。さらに2030年以降(Phase3)の最終段階で創薬プロセスの革新と新しいヘルスケアのあり方を社会実装する方針を示した。志済ユニット長は、「まずはしっかり初期の事例ユースケースというものを作っていきたい」と強調。Web3.0×ヘルスケアの世界観実現にむけた課題では「専門人材の不足」を掲げ、人材育成プラットフォームの深化や外部展開の必要性を指摘した。

◎Web3.0の世界 データの主権が変わる 組織のあり方が変わる “個”が主役になる

Web1.0とは、パソコンを使って情報の「閲覧」ができる2000年代以前の世界。Web2.0とは、スマホを使ってSNSで情報交換ができる世界。そしてWeb3.0とは、メタバースを使って情報をAIが解析し、価値交換できる未来の世界を指す。志済ユニット長は、「Web3.0の世界ではデータの主権が変わり、個人が管理するようになる。そして組織のあり方が変わり、より中央集権型から自律分散的に変わる」と強調した。さらに、「価値創造の空間も2次元にとどまらず3次元になる。一言で言うと“個”が主役になる世界だ」と解説した。

◎情報やデータの管理主体は患者 医師や研究者が垣根を越えたコミュニティを形成

これらをヘルスケアに置き換えると「全ての情報やデータは病院や国が管理していた。Web3.0になると情報は患者に主体的に提供され、管理の主体が移る」と指摘する。また、コミュニティの考え方については、「医療従事者のコミュニティ、研究者のコミュニティといったものが中央集権ではなく、より分散されて、垣根を越えた形で組織やコミュニティが形成される」とも見通した。一方でメタバースについては、Web3.0を構成する様々な技術の「受け皿」として進化するとし、価値創造の空間としての機能を担うことになると定義した。

◎製薬・ヘルスケア産業 価値創造空間を活用して限界を超えたイノベーション創出も

その上で製薬企業やヘルスケア産業にとっては、「価値創造の空間をもっと活用し、現実世界における制約や限界を超えたイノベーションが生まれる」と強調。R&D領域や製造デジタルツインなどに応用されると見通しながら、中外製薬が目指す姿として、革新的なサービスの提供やデジタルを活用した革新的な新薬の創出、全てのバリューチェーンの効率化にWeb3.0を活用する考えを明示した。また実現に向けたロードマップについては、「まずは基盤の強化(Phase1)から始め、バリューチェーンの効率化を通じて適用ユースケースを拡大(Phase2)、最終的には本丸の創薬プロセスの革新へとWeb3.0を推進する」とした。

初期事例の創出では、社内DAO(Decentralized Autonomous Organization:分散型自立組織)に取り組むことも一考とした。ユースケースの適応拡大では、「新しい技術を取り入れながら患者さんや医師など外部との様々なコラボレーションを築いていきたい」と意欲を示した。

◎ユースケースの発信を通じた社会的議論の促進を


一方で課題にも触れ、Web3.0の世界観実現に向けて、「プライバシーやセキュリティのリスク、人材不足、あるいは税制の問題とか、まだまだクリアすべきところというのはまたあるのではないかというふうに考えている」とも述べ、ユースケースの発信を通じた社会的議論の促進やWeb3.0業界団体への参画を通じた規制変革への提言などに取り組む必要性を強調した。

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