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くすり未来塾・武田共同代表 薬価差ゼロの仕組みとして医療機関への“購入価償還制”の導入求める

公開日時 2022/10/28 07:02
薬価流通政策研究会・くすり未来塾の武田俊彦共同代表は10月27日、厚労省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」(座長:遠藤久夫・学習院大経済学部教授)で、薬価差ゼロの仕組みとして、医療機関に対する“購入価償還制”の導入を求めた。武田氏は、「医療機関については、薬価訴求動機の弊害もあるので薬価差を原則として否定していく。そしてこれを本当に価格維持が必要なところから広げていったらどうか」と強調。一方で、薬局は異なる償還方式とし、余剰分を国に返却するクローバック方式を提案した。

◎包括払いにすると、薬価差は問題ない

世界的に病院に対する報酬は包括払いが基本となっており、日本でも、DPC制度が導入されている。武田氏は、「包括払いにすると、薬価差は問題ない。“なぜ薬価差があるか?”というと、薬価があるからだ」と指摘。「日本で医薬分業が進んでいなかったという、病院が事実上薬を出していたということと、薬価を設定して薬価差が生じることによって、病院が価格交渉を一生懸命やれば、それによって、価格の引き下げができるということでやってきた」と説明した。

そのうえで、「構造から考えると、薬価差をなくすというのは、基本的に薬価をなくして包括払いにしてしまえばイコールだ。しかし、これは基本的にその薬価差部分が経営の原資になっているということを認識しながら、同じ点数、同じ治療行為に対して同じ費用を払うということで、医療保険にとっては“いってこい”なわけだ。それをやらないのであれば、薬価差を縮小していくのと同時に、ある程度診療報酬の引き上げをしていかなければ医療機関からすると、何度薬価を下げても引き下げスライドの引き下げを要求するだけだ。医薬品の不採算を増大させるだけだと思う。包括払いを推進する、または、包括にしないのであれば、薬価差を減らしつつ、技術料をどこかの点数で引き上げていくことを同時にやらない限りは、流通改革は進まないだろうと考えている」と述べた。

◎薬局は医療機関とは違う償還方式 世界ではクローバック方式も

一方で、薬局については、「医療機関とは違う償還方式ということで国のガイドラインに基づいた適切な交渉を進めて流通改善を図ってもらいながら、医療保険財源によって生じる余剰成果については医療保険に還元させるということを考えていく必要があるのではないか」と指摘した。

医療機関と異なる償還方式を導入する理由については、「薬剤費を包括して薬局に払うということがあり得るかというと、やっぱりそれはちょっと考えにくいし、そんな国はない」と説明。「物の価格とそれから薬剤師の技術料を合わせて考える。患者に対する請求額をフリーにして安く買ったら安く患者に売る、というようなことで一物一価ではないということを認めるというパターンと、それから公定マージンを認めるけれども、交渉力で差が出るので余剰分は医療保険に返してもらうというようなクローバック方式というのが世界にはあるということだと理解をしている」と述べた。

◎公定マージンに香取構成員 規制なければ「仕切価、納入価は下がるのみ」


この日、デロイトトーマツ コンサルティングが薬価差の適正化を見据え、公定マージンともとれる“目安幅”を提案した。香取照幸構成員(上智大総合人間学部社会福祉学科教授)は、「現行薬価制度、算定方式を前提に、かつ医療機関側あるいは薬局側の強大なバイイングパワーがあるという前提で、これをやると何が起こるかというと、解消された還元分は必ずこの目安の幅を超えて下がっていくという構造が続く。現にそうなっている」と指摘。「実はそこのところを変えない限り、この形で仮に超過利潤分は国庫に返すということで目安が決まると言っても、“この目安以上は薬価差を取るな”みたいな規制をかけるということでもやらない限りは、仕切価、実際の納入価はこれだけまた下がっていく」と指摘した。


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