ヤンセンファーマ 治療と仕事の両立で新プロジェクト始動 病気抱えても就労継続できる企業実現へ一歩
公開日時 2022/10/05 04:51
ヤンセンファーマは、“治療と仕事の両立支援”のための新プロジェクトを発足させた。人口減少社会を迎え、地域の労働生産性の確保などの観点も含めて、高齢労働者や病気を抱えながら就労継続を希望する従業員を支援する取り組みに企業として始動した。同社は、上司と部下の模擬対話を通じ、治療と仕事の両立支援における役割や対話の在り方を学ぶトレーニングの手法を開発。10月3日に記者会見に臨んだ關口修平代表取締役社長は、「日本社会が直面する課題に対する 1つのソリューションとなることを期待している」と意気込んだ。
◎病気や障害をもつ3割の従業員「仕事への影響を上司らに理解してもらうことが難しい」
同社は新プロジェクトの発足に先立ち、「治療と仕事の両立」に関するインターネット調査を実施した。ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ社員1310人を対象としたもの。病気や障害がある従業員の6割以上が、その事実を上司に伝えていることがわかった。一方で、病気や障害のある従業員の約3割が、仕事への影響を上司らに理解してもらうことの難しさを感じ、周囲もまた、一緒に働くことへの心配・不安を抱えていることも明らかになった。
◎「対話でつくろう サステナブル・ワークスタイリング」
特に、社員の抱える「不安感」については、治療と仕事の両立を支援する社内カルチャーの醸成や、利用できる制度の周知、効果的なコミュニケーション―が重要だと指摘する。こうした調査結果を踏まえて同社は、「対話でつくろう サステナブル・ワークスタイリング」と題し、上司・部下間のコミュニケーションを重視したトレーニング・プロジェクトを始動させた。
10月3日には約40人の社員が参加してトレーニングを体験するワークショップを開催。それぞれの社員が、▽部下と一緒に考えず、寄り添わない上司や、▽部下の新たな働き方を一緒に考える上司、▽うつ病と診断されて休職したにも関わらず、曖昧なことしか言わない社員など、あらかじめ用意された設定になりきって会話を行った。社員からは、「寄り添わない上司が相手だと、自分が用無しのように感じた」といった声や、「寄り添ってくれる上司になりきると、部下役の社員がたくさん話をしてくれた」という感想が寄せられたという。
◎關口社長「気軽に相談できる社内カルチャーの存在がカギ」 支援の枠組みを作りたい
同社では、今後もこうしたワークショップを年に4回程度実施していく方針。2024年には、外部企業100社を対象に、ワークショップの内容を無償提供していく考えもある。同社の關口修平代表取締役社長は記者会見で、「自分の疾患や障害について、第三者に伝えるのは容易ではないが、そういう時こそ誰かと繋がることが重要で、気軽に相談できる社内カルチャーの存在が鍵となる」と指摘。「当事者とともに働き方を考え、納得して選択できる。それをサポートするための枠組みを提供したい」と強調した。