塩野義製薬 新規抗菌薬・セフィデロコルを承認申請
公開日時 2022/03/30 04:49
塩野義製薬はこのほど、自社創製の新規シデロフォアセファロスポリン抗菌薬・セフィデロコル(一般名、開発コード:S-649266)を日本で承認申請したと発表した。承認されれば、カルバペネム系抗菌薬に耐性を示すグラム陰性菌感染症に対する治療選択肢となる。
カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す腸内細菌目細菌、緑膿菌、アシネトバクター・バウマニ、ステノトロホモナス・マルトフィリアを含むグラム陰性菌を起因とする感染症の増加は、医療における重要課題となっている。これらの細菌が引き起こす感染症は既存薬での治療が困難で、致死率も増加している。このような背景から、カルバペネム系抗菌薬に耐性を示すグラム陰性菌に対する新たな抗菌薬の開発は、世界保健機関(WHO)や米国疾病予防管理センター(CDC)により最優先事項に挙げられている。
セフィデロコルは、多剤耐性菌を含むグラム陰性菌の外膜を効果的に通過して抗菌活性を発揮する新規のシデロフォアセファロスポリン抗菌薬。鉄と結合する独自の構造を有することにより、細菌が養分である鉄を取り込むために利用する鉄トランスポーターを介し、細菌内に能動的に運ばれる。その結果、セフィデロコルは細菌のペリプラズム内に効率よく取り込まれ、細胞壁合成を阻害する。
セフィデロコルは、これまでに3つの国際共同試験(複雑性尿路感染症患者を対象とした第2相試験(APEKS-cUTI)、カルバペネム耐性グラム陰性菌感染症患者を対象とした第3相試験 (CREDIBLE-CR)、院内肺炎患者を対象とした第3相試験(APEKS-NP))が完了しており、これらの試験結果を踏まえて日本でも承認申請した。米国では製品名「FETROJA」、欧州では「FETCROJA」として承認・上市されている。