アデュカヌマブ バイオジェン主導で商業化 エーザイはロイヤルティ受領へ 提携契約を変更
公開日時 2022/03/16 04:51
エーザイと米バイオジェンは3月15日、アルツハイマー病治療薬のアデュカヌマブはバイオジェン主導で、レカネマブは引き続きエーザイ主導で商業化すると発表した。両社はアデュカヌマブの提携契約を変更することで合意。これまではエーザイも研究開発費などを負担し、地域ごとに決められた率の利益を受領する「損益分配モデル」だったが、2023年1月1日以降、エーザイは費用負担せず、売上に応じたロイヤルティを受け取る「ロイヤルティモデル」に変更することになった。さらに、アデュカヌマブの意思決定及び商業化はバイオジェン単独で行うスキームに変更することになった。
今回の契約変更により、エーザイは23年以降、アデュカヌマブの売上に応じた段階的なロイヤルティを受け取ることになる。具体的にはアデュカヌマブの暦年売上が2億5000万ドル以下の場合のロイヤルティ率は2%、同2億5000万ドル超~5億ドル以下の場合は3.5%、同5億ドル超~10億ドル以下の場合は6%、同10億ドル超の場合は8%――となる。22年の1年間はこれまでの契約に基づき、エーザイが同剤の研究開発費の45%を負担するが、開発・商業化・製造関連費用を含むエーザイの負担額の上限は3億3500万ドルと設定された。
◎レカネマブ バイオジェンによる供給契約を10年に延長
アルツハイマー病疾患修飾剤のレカネマブについては両社の提携契約を継続するものの、バイオジェンの工場からグローバルに製品供給する供給契約に関して、これまでの5年から10年に延長することになった。レカネマブは引き続き、エーザイが開発・薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもと両社で共同商業化・共同販促する。損益は両社で折半する。
◎「役割分担と責任をより明確にした」 エーザイはレカネマブに経営資源集中
エーザイは本誌取材に、アデュカヌマブの提携契約の変更について、「役割分担と責任をより明確にしたもの」とした上で、「アデュカヌマブのガバナンスがより簡素化され、市場環境の変化に対してバイオジェンがより機動的に対応できるようになる」とねらいを説明した。レカネマブに関しては、アデュカヌマブへの費用負担がなくなることを念頭に、「経営資源を集中的に投入し、当社主導のもとレカネマブの価値最大化に注力していくことになる」とコメントした。