塩野義製薬 新型コロナワクチン「S-268019」の追加免疫比較試験でコミナティへの非劣勢を確認 承認申請に前進
公開日時 2022/03/07 04:51
塩野義製薬は3月4日、COVID-19ワクチン「S-268019」の国内第2/3相追加免疫比較試験の中間報告(速報)を行い、主要評価項目である中和抗体価および抗体応答率でコミナティ筋注への非劣性を確認したと発表した。コミナティ筋注を2回接種した後に、6か月以上経過した成人の被験者にS-268019を追加接種(3回目接種)した時の免疫原性のコミナティ筋注に対する非劣性を検証したもの。安全性についても、重篤な副反応、死亡、特に注目すべき副反応は見られなかった。中間報告は治験責任医師の新海正晴・東京品川病院副院長兼治験開発・研究センター長が同日の記者会見で発表した。
「S-268019」の国内第2/3相追加免疫比較試験は、コミナティ筋注2回接種後6か月以上経過した20歳以上の成人を「S-268019群」(n=103)と「コミナティ筋注群」(n=102)に無作為割付し、接種28日後のSARS-CoV-2中和抗体価の幾何平均値(GMT)と抗体応答率の非劣勢を検証した。
◎中和抗体価のGMTおよび抗体応答率の両方で非劣性を確認
SARS-CoV-2中和抗体価の幾何平均抗体価(GMT)は、1回目投与前の抗体価はS-268019群5.53に対し、コミナティ筋注群6.70。これが接種28日後にはS-268019群126.42、コミナティ筋注群108.20となった。一方、接種28日後の抗体応答率は両群とも100%となった。この結果から、中和抗体価のGMTおよび抗体応答率の両方で非劣性が示され、コミナティに対してS-268019の免疫原性の非劣性が検証された。
◎頻繁に見られた副反応は、発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、注射部位の痛み
安全性のうち副反応の発現率はS-268019群の96.1%に対し、コミナティ筋注群は98.1%。両群とも重篤な副反応は見られなかった。最も頻繁に見られた副反応は、発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、注射部位の痛み。両群とも特定全身/局所副反応はGrade 1(軽症)あるいはGrade 2(中等症)で、Grade 3(重症)の特定全身/局所副反応はS-268019群で1例、コミナティ群で4例見られた。
◎国内第3相追加免疫試験の症例登録を2月28日から開始
「S-268019」は現在5つの臨床試験が実施されている。国内第3相追加免疫試験が2月28日から症例登録を開始した。同試験はスパイクバックス筋注(モデルナ筋注)を2回接種した成人および、コミナティ筋注またはスパイクバックス筋注を2回接種した65歳以上の高齢者に「S-268019」を接種し、安全性を検証する。単一施設におけるオープンラベル試験で、目標症例数は成人100例、高齢者50例。国内の承認申請に向けて同社は、「2月からPMDAとの事前評価相談を開始している」としており、現在進行中の臨床試験結果に基づき厚労省やPMDAと協議を進めるとしている。