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2022年度診療報酬改定 看護必要度は「心電図モニターの管理」削除へ 機能分化を促進

公開日時 2022/01/27 05:00
中医協総会は1月26日、2022年度診療報酬改定の焦点である、重症度、医療・看護必要度について「心電図モニターの管理」を削除するなどの見直しを行うことを公益裁定で決定した。急性期一般入院料1の該当患者割合は「31%」で据え置き、診療側が影響の大きさを主張した200床未満の中小病院では「28%」に引下げる。一方で、高度かつ専門的な急性期医療を提供する医療機関を評価する、「急性期充実体制加算」を新設し、重点化も推進。メリハリの利いた報酬体系を構築する。団塊世代が後期高齢者に入り始め、地域医療構想の実現が急がれるなかで、急性期入院医療の機能分化をさらに促す狙いがある。

2022年度改定では、後藤厚労相と鈴木財務相の大臣折衝でも、「医療機能の分化・強化、連携の推進に向けた、提供されている医療機能や患者像 の実態に即した、看護配置7対1の入院基本料を含む入院医療の評価の適正化」が合意事項に盛り込まれるなど、焦点となっていた。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「急性期充実体制加算とセットで、メリハリを利かせるべき。人口構造の変化とコロナ禍の教訓を踏まえれば、入院機能の分化・強化、連携の加速は必須の状況だ」と指摘した。これに対し、診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「コロナ禍の現状において、急性期の入院料の評価体系を厳格化するということは、通常では考えられない」とこの日も診療・支払各側の意見は真っ向から対立した。

特に、「心電図モニターの管理」の削除をめぐる意見がこの日も相次いだ。支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は中医協入院分科会の取りまとめで、「急性期における評価指標として適切かという観点から検討する余地がある」とされたことを引き合いに、「私ども、支払側の委員は医療に関するプロフェッショナルではないが、プロフェッショナルである入院分科会からの指摘というものは、我々支払側としては重く受け止めている」として、「実態に即した具体的な評価の見直し内容の議論を進めるべき」と主張した。これに対し、診療側の城守委員は、「現行の重症度・医療看護必要度は内科系の診療や技術の評価が十分ではないという評価があるなかで削除すると、処置や手術の該当割合が多くない、内科系の急性期病床が大きな影響を受ける。特殊な処置等は加えない患者さんにおいて心電図モニターは重要かつ、欠かせない指標として機能している。今回は一切変更すべきではないと強く主張する」と反発。両者の意見の隔たりは大きく、最終的に公益裁定による決定となった。

◎「注射薬剤3種類以上の管理」、「輸血や血液製剤の管理」を2点に変更

見直し後の重症度・医療看護必要度は、A項目の「心電図モニターの管理」の削除、「点滴ライン同時3本以上の管理」を「注射薬剤3種類以上の管理」に変更、「輸血や血液製剤の管理」の点数を1点から2点に変更するという見直しがなされる。検討事項にあがっていた、B項目の「衣服の着脱」の削除や、C項目の「骨の手術」の日数を11日間から10 日間に短縮することは見送られた。

小塩隆士会長は、「急性期一般入院料1から、急性期一般入院料2及び3等への適切な機能分化を促し、患者の状態に応じた適切な入院料が選択されるよう、取組を進めることは重要」としたうえで、新型コロナの特例措置を継続したうえで、「将来の医療ニーズの変化を踏まえ、入院患者の状態に応じて適切に医療資源を投入する体制の構築を進めることが求められる」として、見直しを決めた。また、急性期一般入院料5と6について、一体とする評価体系へと見直す。

◎該当患者割合は据え置き 中小病院への影響踏まえた緩和措置も

一方で、支払側が引上げを求めた、該当患者割合については、重症度、医療・看護必要度Ⅰで200床以上の医療機関については、急性期一般入院料1で「31%」とするなど据え置いた。一方で、許可病床数 200 床未満の医療機関については、28%と引き下げ、影響を緩和した。なお、重 症度、医療・看護必要度Ⅱは、28%、25%と緩和して差を設け、重症度、医療・看護必要度Ⅱへの移行を促す。

200床の中小病院については、診療側の城守委員が「中小病院は病床数が少ないために評価項目の内容や、該当患者割合が変更されると影響が非常に大きくなる。無理な厳格化がなされると、コロナ対応のみならず、通常の医療も含めた地域医療提供体制が大きく壊れる恐れもある。中小病院の急性期の評価を厳格化することも、あり得ない改定と言わざるを得ない」と主張するなど、診療側から懸念があがっており、こうしたことも踏まえた対応となった。

なお、200床以上の急性期一般入院料2は重症度、医療・看護必要度Ⅰでは27%(見直し前・28%)、急性期一般入院料3は24%(同・25%)、急性期一般入院料4は20%(同・22%)、急性期一般入院料5は17%(同・20%)に見直される。



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