武田薬品は1月11日、英国に本拠を置くAdaptate Biotherapeutics （Adaptate社)を買収すると発表した。これによりAdaptate社の抗体ベースの可変デルタ1（Vδ1）ガンマデルタ（γδ）Ｔ細胞エンゲージャープラットフォームを前臨床段階の候補品および創薬パイプラインのプログラムを含めて取得する。武田薬品としては、自然免疫に着目したがん免疫治療のポートフォリオが加わることになる。

Adaptate社のγδT細胞エンゲージャーは、遺伝子組換え技術を用いて、腫瘍でのみγδT細胞がメディエートする免疫反応を特異的に修飾し、健康な細胞を傷つけないよう設計されている。今回の買収は武田薬品によるGammaDelta Therapeutics Limited社の買収オプション件の行使に続き、革新的なγδT細胞ベースの治療薬の開発をさらに加速することを目的としたもの。別の「build to buy」提携の結果としてMaverick Therapeutics社から取得した新規T細胞エンゲージャーCOBRAプラットフォームを用いて固形がん治療における細胞エンゲージャーの研究開発を進めているが、今回のAdaptate社買収計画は、この取り組みを補完する内容となる。

武田薬品Oncology Cell Therapy and Therapeutic Area Unitのクリストファー・アーレントヘッド（Ph.D.）は、「Adaptate社のγδT細胞エンゲージャープラットフォームと、チームがもつγδT細胞の生理学的特徴に関する深い理解は、私たちに強力な自然免疫の機序を活用し、新クラス治療薬を開発する機会を与えてくれる」と強調。「今回の買収計画は、武田薬品が進めているがん患者の生活を一変させるような治療薬の開発を向けた努力の一環として行うもので、がん免疫療法の研究開発の強化が期待できる」と述べた。