厚労省 偏在解消へ供給量前年比5%超製品の年内出荷調整解除を要請 医療機関は「必要最低限発注を」
公開日時 2021/12/13 04:53
厚生労働省医政局経済課は12月10日、日本製薬団体連合会(日薬連)宛てに、アセトアミノフェンなど供給不安を起こしている一部製品について、年末を目途に、当該成分規格を製造販売する企業は出荷調整を解除するよう要請した。今年9月時点の供給量が昨年9月時点に比べ5%以上増加し、成分規格全体として概ね需要を満たしているものと考えられるため。医薬品の在庫の偏在が供給不安に拍車をかけていることも指摘されるが、日本医師会や日本薬剤師会など、医療関係団体に対しては、「処方見込みや在庫量を把握の上、必要最低限の発注としていただき、返品は避けていただく」ことを要請した。医薬品の安定供給については「一義的には製造販売企業の責務」として、今後安定供給に努めることも求めている。
対象品目についての資料は、文末のファイルからダウンロードできます。
日医工や小林化工の行政処分に端を発した後発品の供給不安問題は現在も拡大を続け、3000品目以上の製品の供給に影響が生じている。一方で、ジェネリックメーカーを中心に在庫放出や増産対応を進めている。こうしたなかで、早期に安定供給を確保するために、在庫の偏在を解消することの必要性も指摘されている。
◎出荷停止品目など86%は昨年9月より供給量多く 供給状況の見える化を
厚労省医政局経済課は10月1日時点で出荷停止している製品規格について、今年9月と昨年9月の供給量について調査を実施した。その結果、出荷停止品目(559 品目)と代替品を含めた同一成分・同一規格である成分規格(324 成分規格)のうち、86%は昨年9月より供給量が多かった。昨年よりも5%以上、増産されていた品目は、アセトアミノフェンやアトルバスタチンなど。これらの品目については、製薬企業に年末を目途に出荷調整を解除することを求めるとともに、医療機関や薬局、卸関係者が確認できるよう、製造販売業者の販売する製品ごとの供給状況を業界団体のウエブサイトに掲載するなど、適切な情報提供を行うことを求めた。医療関係者には、処方見込みや在庫量を把握の上、必要最低限の発注としていただき、返品は避けるよう要請している。
◎供給量前年比20%減の製品「増産対応の検討」を要請 処方変更要請の可能性も
一方で、抗真菌薬・イトラコナゾールや関節リウマチ治療薬・エタネルセプトなど16の製品規格については、供給量が昨年に比べて20%以上減少していることが明らかになった。これらの品目については、「規格全体として供給量が足りないものと考えられる」として、製薬企業には、「増産対応について検討を行い、可能な場合には増産にご協力いただきたい」と求めた。医療関係者には、「今後、関係する学会等に優先する患者や処方の変更等に関する意見を聴いた上で、必要な患者への優先的な処方や、処方の変更等をお願いする可能性があることを申し添える」としている。
◎経済課 安定供給は「一義的には製造販売企業の責務」
製薬企業には、こうした医薬品の供給状況について、「医療機関・薬局等に対して適切な情報提供が行われることは重要」として、適切な情報提供を求めた。また、「製造販売する医薬品を安定的に供給することは、一義的には製造販売企業の責務であることから、今後は、医薬品関係業界において、必要な調査等を実施し、安定供給に努めること」も要請している。