中医協総会 バイオシミラー使用促進でバイオ後続品導入初期加算 診療・支払各側が対象拡充求める
公開日時 2021/12/13 04:51
中医協総会は12月10日、バイオ後続品(バイオシミラー)の使用促進について議論した。使用促進の観点から、2020年度診療報酬改定で、在宅自己注射指導管理料についてバイオ後続品導入初期加算を創設。対象品目の一部は使用割合が増加している一方で、対象外となった品目は使用割合が低いことが指摘された。診療・支払各側からは入院や外来など、評価する対象の拡充を求める声があがった。
◎加算対象のテリパラチドなどはバイオシミラー浸透も抗がん剤など低率に
バイオ後続品導入初期加算は、バイオシミラーについて説明し、処方した場合に初期導入加算として、初回処方日の属す月から起算して3か月間を限度に1回150点加算するというもの。在宅自己注射管理指導料の対象となり、バイオシミラーが薬価収載されているインスリン製剤やヒト成長ホルモン剤、エタネルセプト製剤、テリパラチド製剤、アダリムマブ製剤が対象品目となっている。腫瘍用薬やインフリキシマブ製剤は外来化学療法加算の対象となっており、バイオ後続品導入初期加算の対象とはなっていない。
制度が創設された20年度以降の推移をみると、テリパラチドやインスリンプロなど加算対象品目の使用割合が20年度を境に上昇。一方で、インフリキシマブやアガルシダーゼベータ、ベバシズマブなど、対象となっていない品目では依然としてバイオシミラーの使用割合が低い状況が続いている。
患者調査の結果からは、一般層で約39%、患者層で43.2%にバイオシミラーの使用以降があり、特に「薬の負担額が安くなりそうだから」(65.3%)との理由が最多となった。また、患者や患者家族が求めている情報としては、安全性や効果、費用負担との声が多かった。
◎診療側・城守委員「入院や外来でも評価を」
診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「入院や外来で使用するバイオシミラーについても情報提供を評価することも検討してよいかと思う」との考えを表明。診療側の有澤賢二(日本薬剤師会常務理事)は、「医療費削減、国民負担の軽減の観点から今後も促進していくべき」として、診療報酬上の評価の必要性を強調した。そのうえで、「薬局でも患者さんからの希望を受けて、処方医に確認したうえでバイオ後続品に切り替える場合もあることから、一定程度の評価が必要だ」と主張した。
◎支払側・松本委員「外来化学療法にも同様の仕組みを」
一方、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「高額療養費に該当することが多く、患者の負担軽減は小さいかもしれないが、患者の4割が使用に前向きということで、ぜひ推進したい」と意欲を見せた。そのうえで、「今後は外来や在宅でも積極的に使用していただきたい。そのためには、効果、副作用、費用について医療機関から患者に丁寧に説明していただくことが欠かせない。外来化学療法にも同様の仕組みを設けることで、使用が進むことが期待される。ベースになる報酬標目にも注意しながら、制度設計をすることが考えられる」と述べた。「診療報酬の誘導だけでは限界があるので、国をあげた新たな研究開発、使用促進をお願いしたい」とも語った。