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小野薬品・相良社長 本庶氏と和解「心より喜んでいる」 産学連携への懸念を払拭 アカデミアに貢献も

公開日時 2021/11/15 04:51
小野薬品の相良暁社長は11月12日、大阪本社で記者会見し、がん免疫治療薬オプジーボの特許使用料などをめぐり京都大学の本庶佑特別教授と小野薬品が争っていた裁判で和解が成立したと報告した(関連記事)。相良社長は、「本庶先生との諸問題を全面解決できたことを心より喜んでいる。和解の内容も満足できる」と述べた。また、2006年のライセンス契約で定められたロイヤリティー料率が維持されたことを指摘し、「製薬産業、産業界全体の産学連携に大きな影響を与えかねないと懸念したが、今回の和解によりその懸念は払しょくされた」と強調した。

会見で相良社長は、「長きにわたり株主の利益、本庶先生との要望の間に挟まれて非常に難しい状況に置かれ、裁判にまで至った。しかしながら、裁判所からの和解提案を総合的に検討した結果、株主にも理解される範囲ということで合意した。株主にもご安心いただけるものと考えている」とコメントした。小野薬品からは解決金として本庶氏に50億円を支払うほか、京都大学内に設置する基金「小野薬品・本庶、記念研究基金」に230億円を寄付する。

◎今回の訴訟だけでなく、すべての問題を全面解決できた


本庶氏に支払われる50億円について相良社長は、「ライセンス契約にかかる紛争の全面解決に対する解決金」と説明したほか、3つの特許(免疫賦活組成物、モノクローナル抗体、癌治療剤)およびこれに関連する国内外の特許の有効性をめぐる対第三者訴訟において本庶氏が小野薬品に協力した報奨金や、同特許を含むライセンス契約の対象特許における本庶氏以外の発明者に対する清算金が含まれると説明。和解成立により、「今回の訴訟だけでなく、本庶氏とのすべての紛争について全面解決できた」と述べた。

◎230億円の寄付 将来の基礎研究の促進や若手研究者の育成に


このほか「小野薬品・本庶、記念研究基金」への230億円の寄付については、「アカデミアに対する貢献は、将来の基礎研究の促進や若手研究者の育成に資するという観点から、かねて社内で検討していたもの。オプジーボの収益の一部を京都大学に寄付することになった」と説明した。また、本庶氏との今後について相良社長は、「我が国における医学・薬学、研究の更なる発展、オプジーボの更なる普及のために協力していければと思っている」と述べた。
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