日本新薬 21年度第2四半期決算 純利益105.1%増 ウプトラビ、ビルテプソ好調で
公開日時 2021/11/11 04:51
日本新薬は11月10日、2021年度第2四半期決算を発表し、売上高は前年同期比23.8%増、営業利益93.0%増、親会社帰属純利益105.1%増の好決算だった。米ジョンソン&ジョンソンによる肺動脈性肺高血圧症治療剤ウプトラビの海外売上に伴うロイヤリティ収入や、デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療剤ビルテプソの米国承認取得に伴いFDAから発行された優先審査バウチャーを売却した収入を含む工業所有権等収益が114.6%増の209億6400万円となり、好業績を支えた。
米J&Jの決算によると、ウプトラビの売上は4~6月期が11.0%増の3億1300万ドル(うち米国で6.0%増の2億6800万ドル)、7~9月期が19.0%増の3億900万ドル(同17.3%増の2億6500万ドル)と堅調に推移している。一方、国内のウプトラビの上期売上は13.0%増の38億5100万円となった。21年8月には厚労省から慢性血栓塞栓性肺高血圧症の効能追加承認を取得した。
◎ビルテプソ 売上高は日米で588.8%増 国内も「順調に増加」
国産初の核酸医薬であるビルテプソは、国内では20年5月に発売。同年8月には米国でも発売した。薬価決定時の中医協資料(20年5月13日)によると、メーカーによる国内ピーク時予測販売金額(薬価ベース)は、22年度に予測投与患者数128人で54億円。21年度上期の売上は日米合わせて588.8%増の31億4200万円だった。
ビルテプソの国内販売状況について佐野省三営業担当常務取締役は「ピーク時患者数120~130人のうち、3分の2程度の患者に投与されており、順調に増加している」とコメント。一方、米国での販売状況については、中井亨代表取締役社長が「新型コロナによる受診抑制の影響で、想定より投与患者数が伸びず、上期は計画を下回った。足元で月次計画の想定に近づいてきており、投与を希望する患者数も順調に増えてきており、年度全体では計画の達成を十分目指せる状況にある」と説明した。中国では21年6月に承認申請。承認取得を見据えて11月に販促活動などを行う中国現地法人を設立したことを発表した。
◎ビダーザ 急性骨髄性白血病の効追取得が成長をけん引
骨髄異形成症候群治療剤ビダーザは19.7%増の90億5900万円。21年3月に急性骨髄性白血病の効能追加承認を取得したことが成長をけん引した。ヤンセンファーマと肺動脈性肺高血圧症治療剤オプスミット、前立腺がん治療剤アーリーダおよびザイティガを共同販促しており、共同販促収入は8.3%増の44億6400万円だった。
通期業績予想については、上期業績が期初予想を上回って着地したものの、期初予想を据え置いた。
【連結実績 (前年同期比) 21年度通期予想(前期比)】
売上高 715億6800万円(23.8%増) 1350億円(10.8%増)
営業利益 215億400万円(93.0%増) 280億円(7.1%増)
親会社帰属純利益 165億6100万円(105.1%増) 210億円(1.4%増)
【国内主要製品等売上(前年同期実績)、通期予想、億円】
ビダーザ 90.59(75.67)172
ウプトラビ 38.51(34.08)86
トラマール・ワントラム 34.44(34.76)61
ビルテプソ 31.42(4.56)88
ガザイバ 26.16(26.22)61
アドシルカ 25.99(27.95)48
ザルティア 21.91(43.87)32
シアリス 12.12(13.32)25
デフォイテリオ 9.56(9.04)21
エリザス 6.49(5.49)25
共同販促収入 44.64(41.21)90
工業所有権等収益 209.64(97.69)320