活性型ビタミンD3製剤の出荷調整が拡大 共創未来も新規採用を辞退 骨粗鬆症以外の治療への影響懸念
公開日時 2021/07/19 04:52
活性型ビタミンD3製剤の出荷調整が拡大している。共創未来ファーマは7月16日、カルシトリオールカプセル 0.25μg/0.5μg「YD」について新規採用と注文増加を辞退すると発表した。他社の出荷調整の影響に伴う需要増に応えられないと判断した。骨粗鬆症治療薬・エディロール(一般名:エルデカルシトール)に端を発した活性型ビタミンD3製剤の出荷調整は、同効薬のアルファロール、ロカルトロール、ワンアルファにも広がっている。これら薬剤は、骨粗鬆症以外の適応として、副甲状腺機能低下症や慢性腎不全による低カルシウム血症の改善などを取得しており、こうした疾患の治療継続への影響が懸念されている。
活性型ビタミンD3製剤の出荷調整は、今年6月に、エルデカルシトールの後発品を製造する日医工が、製造所変更に伴う技術移管の遅れにより、一部包装規格の生産が遅延すると公表。エルデカルシトールカプセル0.5µg/0.75µg「日医工」の一部包装規格の供給を一時停止させると発表した。その後、沢井製薬が2020年11月頃に発生した製造上のトラブルにより、一時的にエルデカルシトールカプセルの後発品の製造ができなくなり、在庫量が減少し、十分な在庫量が保てない状況となっていると公表。同社は、7月9日付で出荷調整を行っていることを発表した。
一方、先発企業の中外製薬は7月7日付で、エディロール、アルファロール、ロカルトロールの各製品について「既に投与が継続されている患者への安定供給を優先する」と公表し、出荷調整に踏み切った。同じく先発品をもつ帝人ファーマも7月9日付で、ワンアルファの出荷調整に関する情報提供を医療関係者に開始した。先週16日には、共創未来ファーマがカルシトリオールカプセルの出荷調整を開始したと発表するなど、わずか1か月の間に、先発・後発企業、医薬品卸、薬局・医療機関を巻き込んで当該製品の供給不安が市場に拡大してきた。
◎副甲状腺機能低下症などへの影響も懸念
活性型ビタミンD3製剤の場合、薬剤によって適応症に違いがある。エディロール(エルデカルシトール)は骨粗鬆症のみだが、アルファロール、ロカルトロール、ワンアルファは、骨粗鬆症以外に、慢性腎不全、副甲状腺機能低下症、ビタミンD抵抗性クル病・骨軟化症におけるビタミンD代謝異常に伴う諸症状の改善を取得している。副甲状腺機能低下症は、血中のカルシウム濃度を調整し続ける目的で活性型ビタミンD製剤やカルシウム製剤を毎日服用することから、今回の出荷調整に伴う供給不安の影響が懸念されている。各社とも、既治療の患者への継続使用を優先して製品供給する方針だ。ただ、出荷調整の長期化は避けたい考えで、対応が求められそうだ。