中外製薬 バイスペシフィック抗体ファリシマブを国内申請 DME/nAMDの適応で
公開日時 2021/06/15 04:50
中外製薬は6月11日、抗VEGF/抗Ang-2 バイスペシフィック抗体・ファリシマブについて、10日付で承認申請を行ったと発表した。糖尿病黄斑浮腫(DME)と中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)を対象疾患とする。同社によると、最長16週の投与間隔を達成した初の眼内注射剤で、通院や治療に伴う負担の軽減が期待されるという。
ファリシマブは、眼科領域で初めてのバイスペシフィック抗体。多くの網膜疾患の原因である、アンジオポエチン-2(Ang-2)と血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)が関与する2つの異なる経路を標的とする。Ang-2とVEGF-Aは、血管構造の不安定化により、漏出を引き起こす血管を新たに形成し、炎症を起こすことで、視力低下を引き起こす原因の一つとなっているが、ファリシマブは、これら2つの経路を別々に遮断することで血管を安定化させる。このため、網膜疾患を有する患者の視力をより良く、より長く保てる可能性があるという。
申請は、4本の国際共同臨床第3相試験に基づくもので、同社によると、4本いずれも主要評価項目を達成した。最長4か月の投与間隔によるファリシマブの投与群と、アイリーア(アフリベルセプト)の2か月間隔投与群と比較したところ、視力改善における非劣性が示されていた。日本は、「YOSEMITE」、「TENAYA」の2本の国際共同臨床第3相試験に参加している。