田辺三菱製薬 20年度決算は585億円の営業損失 潰瘍性大腸炎候補品の開発中止で39億円の減損も
公開日時 2021/05/13 04:51
田辺三菱製薬は5月12日、2020年度(21年3月期)決算を発表し、585億円の営業損失となったと発表した。19年度は61億円の営業損失で、2期連続の営業赤字となる。20年度上期の619億円の営業損失から赤字幅を縮小したが、連結子会社のイスラエル・ニューロダム社がパーキンソン病の適応取得を目指す「ND0612」が新型コロナの影響で開発が遅延し、計画変更を余儀なくされたことによる、減損損失(非経常項目)845億円の計上が大きく響いた。また、買収したステリック再生医科学研究所の潰瘍性大腸炎の適応を目指した開発候補品「MT-5745」の開発中止で減損損失(非経常項目)として39億円を計上したことも同日発表した。
この日、開発中止による減損損失計上を発表したMT-5745は、2017年度に買収したステリック再生医科学研究所が創成した候補品だった。潰瘍性大腸炎の本格的な臨床試験開始に向け、「ステリック社のデータを補完するために様々な非臨床試験を実施したが、十分な効果を確認できずプロジェクトの中止に至った」としている。
売上高は、前年同期比0.5%減の3778億円と横ばい。国内医療用医薬品売上高は0.3%減の3130億円。同社を牽引してきた関節リウマチ治療薬・レミケードは対前年同期比80億円減の454億円となったが、2020年3月に潰瘍性大腸炎の適応追加を取得したステラーラが62億円増の322億円を売上げたほか、2型糖尿長治療薬のカナグル、カナリアが伸びるなど、健闘した。また、新型コロナウイルス感染症が拡大し、医療機関から訪問自粛が要請されるなか、販売費や研究開発費を圧縮し、コア営業利益は対前年同期比10.4%増の210億円となった。
2021年度は、対前年同期比7.9%増の4075億円を計画する。カナダ子会社のメディカゴ社が開発を進める新型コロナワクチンの実用化による増収を織り込んだ。国内医療用医薬品は、重点品は伸長するものの、薬価改定の影響をうけて減収となる見通し。
【20年度連結業績(前年同期比) 21年度予想(前年同期比)】
売上高 3778億円(0.5%減) 4075億円(7.9%増)
営業利益 ▲585億円(―) 300億円(―)
コア営業利益 210億円(10.4%増) 260億円(23.6%増)
親会社帰属純利益 ▲469億円(―) 175億円(―)
【20年度主要製品国内売上高(前年同期実績) 21年度予想、億円】
レミケード 454(534)365
シンポニー 423(410)412
ステラーラ 322(260) 427
テネリア 151 (152) 144
カナグル 103(88) 101
カナリア 97(67)93
レクサプロ 153(150)141
ルパフィン 82(68)89
イムセラ 41(42) 33
パフセオ 3(―)13
ワクチン計 426(390)370
インフルエンザ 144(126)143
テトラビック 109(95)108
ミールビック 61 (60)57
ジェービックV 52 (52)13
水痘ワクチン 50(49)41
長期収載品等 1244(―)1040
海外医療用医薬品 502(―)1006
ラジカヴァ 220(231)192
ロイヤリティ収入等 159(174)123
インヴォカナ 91(85)非開示
ジレニア 43(57)非開示