科研製薬・堀内社長 MR×「Web、リモート、VR」で最適化 疾患啓発にDTCやソーシャルメディアも
公開日時 2021/05/11 04:52
科研製薬の堀内裕之社長は5月10日、2021年3月期決算IRミーティングに臨み、持続的成長に向けて営業基盤の強化や生産性向上のための人材育成、業務改革などに取り組む姿勢を強調した。コロナ禍における医薬品の情報提供活動については、「新たなデジタルツール等も活用し、医療機関に合わせた方法で活動を実施した」と説明。MRのリアル活動を活かしながらも、Web講演会やリモート面談、VR(バーチャル・リアリティ)など「出来る部分を強力に進めたい」と語った。また、疾患啓発やアンメッドニーズの顕在化などの部分については、DTCやソーシャルメディアの活用にも力を入れる考えを明らかにした。
◎直接MRが介在する必要のある情報の対応が絶対的に必要だ
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、製薬各社ともMRによる情報提供活動に様々な制約を受けている。科研製薬も同様で、Webセミナーなどデジタルツールの活用に取り組んでいるところだ。堀内社長は、「デジタルの活用については、これが正解だということはない」と強調。「エムスリーとの協力によるMRディテールや、Webセミナー、リモート活用など、できる部分を強力に進めていきたい」と述べた。ただ、堀内社長は、「実際このコロナ禍において、これだけデジタルが進んでいても、実際のMRディテールというのはそれなりの数量があり、活用されている。そういう事実を踏まえて、その方向で進めていきたい」と指摘。「直接MRが介在する必要のある情報の対応が絶対的に必要だと思っている。MRのリアル活動がいらなくなることは無い」とも断言した。
◎爪白癬治療剤クレナフィンの情報提供活動にVRを活用 リグロスは術式体験も
同社はVRの活用に取り組んでいる。21年度には皮膚科医を中心とした爪白癬治療剤クレナフィンの情報提供活動にVRを活用するほか、歯周組織再生剤リグロスにもVRを活用した製品説明などを検討している。クレナフィンについては、患者向け治療サポートアプリなどデジタルツールの活用も行っている。堀内社長は、「一番は、まず当社の薬剤に関して薬理作用を医師に、いかに明確に理解してもらうかだ。MRのデジタルディテールとしてのVRの活用を考えている」と述べた。さらに「リグロスにおいては、フラップ手術の術式をVRで体験していただくことが医師への認知にも拡がる」と述べ、期待感を示した。
◎原発性腋窩多汗症治療剤エクロックの疾患啓発にソーシャルメディアやDTC活用
このほか堀内社長は、医薬品の情報提供活動とは別に、疾患啓発などにソーシャルメディアやDTCの活用を視野に入れていることを明らかにした。あくまで、疾患に対する啓発活動や患者のアンメッドニーズを顕在化させるというような活動に限って行うものだ。例えばクレナフィンにおいては、潜在患者の発掘にDTCやソーシャルメディアの利用を想定している。また、原発性腋窩多汗症治療剤エクロックについても、疾患啓発に用いることを検討している。堀内社長は、「多汗症だからDTCだけでよいとは考えていない」とも述べた。
【20年度連結業績(前年同期比) 21年度予想(前年同期比)】
売上高 749億7900万円(16.0%減) 792億円(5.6%増)
営業利益 177億8800万円(32.9%減) 188億円(5.7%増)
親会社帰属純利益 134億500万円(30.8%減) 140億円(4.4%増)
【20年度主要製品国内売上高(前年同期実績) 21年度予想、億円】
クレナフィン 192(222)208
アルツ 189(235)187
セプラフィルム 87(95)92
フィブラストスプレー 28(30)28
エブランチル 19(19)19
リグロス 7(7)8
ヘルコニア 4(4)5
ジェネリック合計 85(95)83