塩野義製薬 精神・神経系領域でAI創薬に力 米創薬ベンチャーと共同研究契約締結
公開日時 2021/05/06 04:50
塩野義製薬は4月28日、アメリカのAI創薬ベンチャー・InveniAI LLC(本社:米国コネチカット州)と共同研究契約を締結したと発表した。InveniAI 社が有するAI 創薬プラットフォーム「AlphaMeld」を用い、精神・神経系領域におけるマルチターゲット創薬を目指す。契約は、4月23日付。
「AlphaMeld」は、10年以上培われたデータセットをもとに構築された機械学習アルゴリズムで、特定の疾患に関連する標的分子の選定に加え、その疾患に関連する周辺の因子を可視化するAI 創薬プラットフォーム。関連する複数の標的を示し、その標的に対する既存薬を候補として提案することを可能にするという。
塩野義製薬は、AlphaMeldを用いて、中枢・神経系領域の特定の疾患について、創薬の標的を探索する考え。同社によると、中枢・神経系疾患においては複数の因子が絡み合うことから、標的探索や評価系の構築、ツール化合物の探索に膨大な時間とコストが必要となる。提携により、標的や組み合わせを効率よく網羅的に探索できるとして、必要なリソースの軽減と、創薬の迅速化に期待しているという。契約に基づき、塩野義製薬はInveniAI 社に最大2億ドルを支払う可能性がある。
塩野義製薬は、「依然としてアンメットメディカルニーズが高い精神・神経系疾患に対する画期的な治療薬を世界中に届けることができるよう、最先端の技術を積極的に活用しながら努力するとともに、QOLや生産性の向上に貢献できるよう、外部パートナーとの連携を含めた取り組みを強化していく」とコメントしている。
InveniAI社はAIや機械学習について最先端の研究を行うベンチャー企業。国内の製薬会社では塩野義のほか、協和キリンや武田薬品とも提携契約を締結している。同社のAlphaMeldについては、関連会社のBioXcel Therapeutics社が選定した化合物について、臨床試験を行っており、有効性が確認されているという。