厚労省審査管理課 小林化工による承認申請時の不適切行為を確認 12品目の製造販売承認取り消しへ
公開日時 2021/04/16 18:50
厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課は4月16日、小林化工が承認を有する複数の医薬品で、承認申請に関する不適切行為があったと発表した。小林化工への実地調査や同社からの報告を通じ、事実関係が確認された。審査管理課は小林化工に対し、行政手続法に基づく聴聞の機会を与えた上で、製造販売承認の取り消しを含めて厳正な処分を実施する方針。また、小林化工との共同開発品目については、事実関係について確認を行っていることを明らかにした。
◎安定性試験の実施日改ざん、承認申請書と異なる製剤で安定性試験実施など
小林化工から審査管理課に報告のあった重大な不適切行為は、①承認申請用の安定性試験について、安定性試験の実施日、分析法バリデーションの実施日等を改ざんした、②承認申請書の記載とは異なる方法で製造された製剤で、承認申請用の安定性試験を行っていた―というもの。審査管理課は、重大な不適切行為のあったいずれの医薬品についても、承認申請後に小林化工が実施した安定性試験結果において、品質、有効性、安全性に問題ない結果が出ていることを確認したと説明した。
◎小林化工が会見 不適切行為の該当は12品目 製造販売業務の業務改善命令も予定
これに対し小林化工は同日夕、本社のある福井県あわら市で記者会見を開き、事実関係を公表した。承認申請に関する不適切行為が発覚したのはロラタジンODフィルム10mg「KN」など12品目。同社は承認取消処分の原因と考えられる事実の一例として、「予定していた承認申請時期に間に合わせるために、6か月間の安定性試験(加速試験)については、実際は1週間程度早期に実施したにもかかわらず、6か月経過時に実施したかのように装い、虚偽の記載を行った」との事例が10製品あったと認めている。また、「承認申請書に記載された製造方法とは異なる製造方法で製造された製剤を使用して、安定性試験を行い、重要な事実を記載しなかった」事例も2製品あった。
同社はまた、厚労省から「薬機法第74条の2第3項第2号に基づき、小林化工が有する12品目の製造販売承認を取り消すとともに、薬機法第72条の4第1項に基づき製造販売業務の業務改善を命令する予定」であり、聴聞を行う旨の通知を受けたことを明らかにした。
【重大な不適切行為のあった医薬品は以下の通り】(小林化工の発表資料より)
・ロラタジンODフィルム10mg「KN」(安定性試験の日付改ざん)
・アナストロゾール錠1mg「KN」(分析法バリデーションの実施日改ざん)
・ロスバスタチン錠2.5mg「MEEK」(安定性試験の日付改ざん)
・ロスバスタチン錠5mg「MEEK」(安定性試験の日付改ざん、GCP省令違反)
・ボセンタン錠62.5mg「KN」(安定性試験の日付改ざん、GCP省令違反)
・モンテルカスト細粒4mg「KN」・発売前(安定性試験の日付改ざん)
・エンテカビル錠0.5mg「KN」(分析法バリデーションの実施日改ざん、GCP省令違反)
・イルベサルタン錠50mg「KN」(安定性試験の日付改ざん)
・イルベサルタン錠100mg「KN」(安定性試験の日付改ざん、GCP省令違反)
・イルベサルタン錠200mg「KN」(安定性試験の日付改ざん、GCP省令違反)
・セレコキシブ錠100mg「KN」(安定性試験用製剤の製造方法にて重要な事実を記載していない、GCP省令違反)
・セレコキシブ錠200mg「KN」(安定性試験用製剤の製造方法にて重要な事実を記載していない、GCP省令違反)
なお、モンテルカスト細粒4mg「KN」は発売前の製品であり、これ以外の品目については速やかに自主回収に着手する。