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小林化工 業務再開の見通し立たず 法令遵守を確実に実行する組織体制が未整備 トップ交代待ち

公開日時 2021/04/13 04:52
過去最長116日の業務停止命令処分中の小林化工は、4月10日で第2種医薬品製造販売業の許可にかかわる製造販売業と清間工場に科された60日間の業務停止処分を完了した。ただ、業務改善の見通しが立たないことを理由に、工場の再開に至っていない。小林化工は3月10日付で福井県に「業務改善計画書」を提出し、その後、業務改善計画に基づく全社員を対象とした法令遵守に関する研修などをスタートさせた。しかしながら肝心の同社が業務改善計画書に明示した法令遵守を確実に実施する組織体制の構築には、いまだ至っていない。社長、副社長のトップ2の辞任や後任者の外部からの招聘などが固まらない中での工場再開は、時期尚早だ。

福井県は2月9日に睡眠導入剤混入事案を起こした小林化工に対し、過去最長となる116日間の業務停止処分と業務改善命令を通達した。行政処分は、①業務停止処分116日(2月10日~6月5日)、②業務改善命令-とするもの。ただ、第2種医薬品製造販売業の許可に係る製造販売業と、清間工場は60日間(2月10日~4月10日)の業務停止処分としていた。

◎経営陣交代は小林化工が自ら掲げた「業務改善」計画


一方、業務改善命令について福井県は、薬機法および関連法令の遵守、役職員への教育、製造・販売に係る業務体制の見直し・整備などを求めた。加えて、「事業再開時期については、追って提出される業務改善計画の内容を踏まえ、検討する」とし、業務改善が完了しなければ出荷再開はできないことも、この時点から福井県を通じて通達されていた。これを受け小林化工は、福井県に対し「業務改善計画書」を3月10日に提出。「法令遵守を確実に実行するための組織体制の構築として、小林広幸代表取締役兼社長執行役員、小林順子取締役兼副社長執行役員は速やかに辞任し、後任を社外から招聘するなど経営陣を刷新する。現在の総括製造販売責任者、品質保証責任者、安全管理責任者も交代する」旨を宣言している。

ただ、一部行政処分(清間工場等)が完了する4月10日においても、現社長・副社長の後任人事は明らかにされず、「法令遵守を確実に実行するための組織体制の構築」に至っていない。経営陣の交代は今回の業務改善において小林化工が自ら掲げた項目でもあり、体制変更が無いままでの工場再開はあり得ない。

◎すでに社員への倫理・遵法意識徹底で教育訓練に着手

これに対し小林化工側は、業務改善計画書に基づく社員教育や品質管理体制の構築などに着手した。さらに社内にコンプライアンスの専従組織、内部通報制度の導入、コンプライアンス委員会の設置などに加え、全役職員に倫理・遵法意識徹底で教育訓練も行っている。同社も、法令遵守や品質管理のための教育には引き続き注力するとしているが、肝心の経営体制の再構築や経営陣の刷新なくして業務再開はあり得ないだろう。裏を返すと、業務再開は新社長が就任し、第一声を発するタイミングになるのではないか。なお時間を要するとの観測だ。

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