AZの新型コロナワクチン 血小板減少を伴う血栓症は「非常に稀な副反応」 欧州EMAが結論
公開日時 2021/04/08 04:52
欧州医薬品庁(EMA)の安全性コミッティは4月7日、アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンについて、血小板減少を伴う血栓症を「非常に稀な副反応」としてリストすべきだと結論付けた。ワクチンと血栓症との関連がある可能性を認めた。血栓症はワクチン接種2週間以内に、60歳未満の女性で発生が報告されており、医療従事者やワクチンを接種した人に注意喚起した。ただ、現在のところ、ワクチン接種により、新型コロナによる死亡や入院を予防するベネフィットは全体的に副作用のリスクを上回るとしている。
安全性コミッティでは、結論を出すにあたり、臨時の専門家グループからのアドバイスを含む、現在入手可能なすべてのエビデンスを考慮したとしている。アストラゼネカの新型コロナワクチン接種後の血栓症について、EUの薬物安全性データベースに報告された62例の脳静脈洞血栓症と24例の内臓静脈血栓症(2021年3月22日時点)について、詳細なレビューを実施した。なお、約2500万人がワクチンを接種しているという。
血栓は、脳の静脈(脳静脈洞血栓症、CVST)と腹部(内臓静脈血栓症)および動脈で発生し、血小板減少を伴い、出血しているケースもあったとしている。投与開始から2週間以内に症状が発生しているケースが多いという。なお、2回目の接種で起きたケースは限られているという。
血栓症が起きるメカニズムについては、ワクチンが免疫応答を引き起こし、非定型のヘパリン起因性血小板減少症のような症状を引き起こす可能性があると考えられると説明している。ただし、現時点では、リスク因子の特定には至っていないとしている。
EMAは、接種を受けた人には数週間以内に、呼吸困難や胸痛、足のむくみ、持続的な腹痛(腹痛)、重度で持続的な頭痛やかすみ目などの神経学的症状、注射部位を超えた皮膚の下の小さな血斑などの症状が一つでもあった場合は、直ちに緊急の医師の診察を受ける必要があると注意喚起している。
血栓症のリスクが指摘されるなかで、英オックスフォード大は17歳以下を対象とした臨床試験を一時中止されている。