HIF-PH阻害薬 エベレンゾで“エベレスト”を表現 作用機序にからめ
公開日時 2021/04/01 05:00
高い山に登ると呼吸が荒くなる、そして、頭痛や吐き気、めまいに見舞われる――。高山病の症状だ。これは血液中の酸素濃度の低下に対する反応だが、一方で、体は必要な酸素をなんとか確保しようと酸素運搬能力を高めていく。この仕組みを利用したのが高地トレーニングで、あえて低酸素の環境に身を置いて酸素運搬能力を高め、持久力などの向上を目指す。低酸素環境に順応する鍵を握るのは、低酸素誘導因子というタンパク質。文字通り、低酸素環境で活性化して腎臓でのエリスロポエチン産生を促し、赤血球を増やす。低酸素環境でなくてもこの機構が働くようにするのがHIF-PH(低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素)阻害薬で、腎性貧血の治療薬として開発された。HIF-PH阻害薬は2019年11月から1年余りの間に4剤(エベレンゾ、ダーブロ...