田辺三菱製薬 抗体開発で独占的ライセンス契約を締結 自己免疫疾患で
公開日時 2021/01/27 04:50
田辺三菱製薬は1月26日、バイオベンチャーのファーマフーズ社(京都市)と自己免疫疾患治療を目指した抗体医薬に関する全世界における開発・商業化に関する独占的ライセンス契約を締結したと発表した。ニワトリ由来の新たなヒト化抗体作成技術で作成した抗体を開発段階に進める。同社は本誌に対し、「新規性のあるメカニズムで薬剤開発ができることを期待して開発を進める」と意欲を見せた。
今回の提携の核となるのが、ファーマフーズ社の有する独自の抗体作製技術「ALAgene technology(アラジン テクノロジー)」だ。同技術は、ニワトリ由来の抗体作成技術。通常、抗体を作成する際には、マウスなど哺乳類を活用しており、新たなアプローチとなる。活用により、これまで抗体の作成が困難だった自己免疫疾患のターゲット分子に対する新規抗体の創出が期待できるという。
両社はこの技術を活用し、2018年10月から共同研究を開始。田辺三菱製薬の有する抗体親和性技術で作成した抗体を改良し、動物モデルを用いた評価をすることで、開発候補抗体を取得したという。
今回の提携で、田辺三菱製薬は、開発候補抗体の製造・開発・販売を全世界で独占的に実施する権利をファーマフーズから取得する。この対価として、ファーマフーズ社に対し、契約一時金として3億2000万円を支払う。今後開発段階に応じた開発マイルストンと、上市後の全世界における販売額に応じたロイヤリティと販売マイルストンを支払う予定。
田辺三菱製薬の上野裕明代表取締役社長は、「これまで両社で取り組んできた本抗体の研究成果に、強い自信を持っている。当社の重点疾患領域である免疫炎症領域で、本抗体を重点プロジェクトのひとつとして位置付けており、一刻でも早く本抗体を使った医薬品を開発し、患者様にお届けする」とコメントしている。