小林化工 福井県にイトラコナゾール錠50「MEEK」問題で報告書提出 県は早期に行政処分決定へ
公開日時 2021/01/21 04:52
小林化工は1月20日、福井県に対し、製造工程で睡眠剤を混入した経口抗真菌剤イトラコナゾール錠50「MEEK」(ロット番号・製造番号:T0EG08)の問題に関する報告書を提出した。薬機法69条第1項に基づき、製造工程に関する一連の経緯や生産管理体制などについて社内調査の結果をまとめたもの。福井県健康福祉部も同日、小林化工から報告書を受け取ったことを明らかにした上で、「厚労省とも情報を共有し、行政処分を含めて年度内のできるだけ早いタイミングに方針を決定したい」とコメントした。
この問題をめぐっては、睡眠剤を混入した経口抗真菌剤イトラコナゾール錠50「MEEK」の服用患者から死亡例を含む重篤な健康被害が相次いでいる。同社は、20年12月4日に当該製品の自主回収(クラスⅠ)を行ったが、1月18日時点で当該薬剤の服用患者の約6割に相当する214人から健康被害が報告され、うち自動車等の運転による事故が22人、救急搬送・入院(退院を含む)は37人となった。
福井県と厚労省、PMDAは小林化工に対し、20年12月21日と22日に立入調査を実施。製造過程で承認薬と異なる成分が混入されていたことから、県側は、医薬品医療機器等法違反の可能性もあるとして、同社従業員から、睡眠剤が混入された経緯等についての聞き取り調査を行った。また、その際、イトラコナゾール錠以外の同社製造品の試験記録を調べるなかで、一部製品から定量試験や純度試験等で再確認が必要との指示を受け、自主回収(クラスⅡ)などを行っていた。
◎福井県「出来るだけ早いタイミングで(行政処分を)決定したい」
小林化工の一連の問題は、行政処分の決定に向けた最終段階を迎える。問題となった経口抗真菌剤イトラコナゾール錠50「MEEK」については、承認外の薬剤が混入されたことに加えて、承認外の作業手順や製造工程におけるチェック体制の不備などが指摘されている。福井県健康福祉部は本誌取材に対し、小林化工の報告書を精査しながら、これまでの立入調査の結果などを含めて薬機法違反の疑いについて検討を進める方針を示した。また、行政処分についても「出来るだけ早いタイミングで決定したい」との方針を明らかにした。
◎小林化工 社内調査は継続 再発防止策の実施、コンプライアンスの意識強化を図る
一方、小林化工側も本誌取材に対し、引き続き社内調査を継続すると説明した。12月17日には外部有識者による調査委員会も発足させている。同社としては、今回の問題を踏まえた再発防止策の実施や、全社員を対象としたコンプライアンスの遵守などについて、「早期に対応し、意識の強化を図っていきたい」としている。